2017年6月29日に発表されたところによると、フィンランド化学品大手Kemira(本社:ヘルシンキ)[1]が同じくフィンランドのスタートアップAqsens社(本社:ヘルシンキ)[2]から液体分析技術を買収した。
今回Kemira社が取得した技術は、拡張時間分解蛍光法(E-TRF:Enhanced Time Resolved Fluorescence)を用いた定性的かつ定量的な液体分析技術であり、Kemiraによれば、感度と選択性に優れ、様々な液体サンプルに利用することができるものだという。本技術を最初に搭載したKemiraの製品が「Kemira KemConnect SIシステム」である。このシステムは、油田で発生する高分子のスケール防止剤の濃度を素早く測定することができ、それも信頼性の高いデータを現場でリアルタイムに確認できることから、排水の処理効率を高め、アウトプットを最大化することができるという。Kemiraの産業・水部門の社長Antti Salminen氏は次のように語った。「今回の買収は、スマートな化学物質モニタリングツールを顧客に提供していくために新たな技術を取得していくというKemiraのコミットメントの表れです。我々は、本技術のさらなる開発を進め、Kemira KemConnectプロセスマネジメント技術の一部として、様々な用途に活用していけることを楽しみにしています」
図 Kemira KemConnect SI
(出典:Kemira社のホームページ[3])
Aqsens HealthのCEOを務めるTimo Teimonen氏は次のようにコメントした。「Aqsensでは、健康モニタリング分野のビジネスを再び重点分野とすることになりました。Kemiraと共同開発したE-TRFプラットフォームに関して、同社と長期的なパートナーシップを結び、開発と事業をともに進めていけることを嬉しく思います。」
なお、両社の合意により、今回の技術の買収費用は公表されていない。
[1] 水を大量に消費するパルプ・製紙、石油・ガス、水処理分野に顧客に持つ化学品サプライヤー。2016年の年間収益は約24億ユーロ(約3120億円)、従業員数は4,800人。
[2] 高精度の水質分析技術を元に立ち上げられたスタートアップ。特にオンサイトでの計測の正確さを売りにしている。重点分野は、環境技術およびライフサイエンスである。
[3] http://www.kemira.com/en/industries-applications/pages/kemconnect-si.aspx