ドイツの「全国微量物質戦略」ステークホルダーダイアログが2017年6月27日、ドイツの河川水域への微量物質流入の大幅削減を推進する戦略をドイツ議会に勧告した(以下のURLに、同ダイアログのポリシーペーパーの原文掲載)。
http://www.bmub.bund.de/fileadmin/Daten_BMU/Download_PDF/Binnengewaesser/spurenstoffstrategie_policy_paper_bf.pdf
ドイツでは、工業用化学物質、医薬品、化粧品、農薬などの微量物質から河川水域を保護する全国的な戦略を策定するため、2016年11月7日に「全国微量物質戦略」ステークホルダーダイアログが発足した。ダイアログは、BASFやバイエルなどの産業界、水道事業者、環境・自然保護NGO、市町村組合などからなる幅広い官民の連合である。戦略の目標は、水生環境への微量物質の流入を避けるか減らすことにある。第1フェーズでは、フラウンホーファ・システム&イノベーション研究所が座長を務め、2017年6月までに議会にあてた勧告を行うこととされていた。今回の勧告は次の5つのテーマ分野からなる。
(1) 重要な微量物質の把握について
(2) 発生源(生産や輸入)に即した施策について
- 環境リスク評価の成果を周知するとともに、知見の穴を埋めること。
- 微量物質の河川流入を少なくするよう、生産者に対策を勧告すること。
- 製造加工業からの下水排出状況を把握し、必要に応じて削減すること。
- 輸入品に含まれる微量物質を削減すること。
(3) 専門家や消費者による化学物質の利用に合わせた施策について
- 「水域にとっての微量物質の重要性」について、共同で情報提供キャンペーンを行うこと。
- 「水域にとっての微量物質の重要性」というテーマを、研修や訓練プログラムに取り入れること。
- 化学物質を利用するターゲットグループに対応した表示をすること。
- 化学物質の用途に即して、具体的な施策をさらに立案すること。
(4) 微量物質排出後に絞った施策について
- 下水処理場で、さらに微量物質の下水処理するための基本指針を定めること。
- 雨水雑水配管に対する対策を調査し、必要に応じて策定すること。
- 市町村の下水インフラ整備に関して、情報を交換し研究開発を進めること。
- 廃棄物を適切に処理処分すること。
(5) 微量物質戦略の実施コストについて