2017年11月2日に現地で報じられたところによると、インド・マハラーシュトラ州政府は都市地方団体(ULB:urban local body、大都市地域の自治都市および小都市地域の都市評議会を含む)に対し、下水再生水の使用を義務づけることを決めた。これに伴い、ULBには下水再生水の産生に必要な三次処理施設の建設が求められる。さらに政府は、必要な下水処理施設が整備された後には、マハラーシュトラ産業開発公社(MIDC)管轄エリア内の火力発電所および企業に対しては、再生水のみを使用することを義務づけるという。
マハラーシュトラ州内閣は11月1日、下水を処理し再利用するポリシーを表明し、ULBに対してこのポリシーを遵守するための猶予期間を3年間与えると発表した。水を大量に消費する火力発電所および工業施設は、3年後には淡水を使用することはできなくなり、また自治体も下水処理施設の建設を急がねばならない。マハラーシュトラ州都市開発公省(UDD)のManisha Mhaiskar大臣は次のように述べた。「基本的な考え方は、淡水を節約し、最も必要としている場所で使うということです。これを達成するためには、飲用以外の目的には下水を再利用する他ありません。」同大臣によれば、ULBが再生水利用のために必要な施設を整備し次第、MIDC管轄地域のための貯水施設は取り壊し、その分のダムの水は飲用水および灌漑目的に割り当てるという。
同州政府はこの目的のため、上下水道の整備や都市交通の開発など市民サービスの向上を中心に推進するAMRUT計画(Centre’s Atal Mission for Rejuvenation and Urban Transformation)とリンクする形でULBが利用可能な3種類の財政支援モデルを承認した。Mhaiskar大臣によれば、この制度の下では、中央政府が50%を支援し、残りを該当するULBと州が半分ずつ負担することになるという。1974年水質汚染(汚染防止・管理)法は、ULBに対し、下水を海に放出する際には、同法が定義する2番目に高い水準の処理を行うことを義務づけている。現在、マハラーシュトラ州で21の都市がこの水準の処理施設を保有しており、1日あたり47億3800万トンの下水を処理している。一方で、50の都市にあっては、現在処理施設の建設が進められている状況であり、これらの処理能力は21億500万トンである。しかし全ての下水を処理できるようになるまでにはほど遠く、現在、ムンバイですら6億5500万トンの下水を直接海に流している。