2018年3月18~23日にブラジル・ブラジリア市で開催された世界水フォーラムに向けて、ラテンアメリカ開発銀行CAFが行っている中南米の水資源確保に関する調査の進捗が報告された。
中南米では、生活水準の向上や都市化、輸出向け農産品の増加、観光産業の発展に伴って水の需要が増加しており、気候変動による洪水や旱魃の被害と相まって、水資源確保が重要な課題となっている。このためCAFは中南米17ヶ国の26の主要都市で、水源や上水インフラ、水道網、水資源の様々な用途に関する調査を行い、水資源確保における一番の問題は、インフラの不備と都市部における水道網にあるという結論に達した。調査では、住民の水の需要をまかなえるインフラを有する都市は全体の46%にとどまるという結果が出ており、水源を監視および保護する機関から住民に飲料水を届ける業者まで、すべての関係者のパフォーマンスの改善が必要とされている。
ただし問題はインフラよりもむしろ、水資源が効率よく利用されていないところにあると、CAFは指摘している。調査によると、調査対象の26都市では漏水率が40%以上となっており、コロンビアのバランキージャ市やエクアドルのグアヤキル市など、60%以上に達している都市もある。水道網での漏水を削減するために何らかのインセンティブが設けられている都市もあるが十分ではなく、消費者の水道料金がその分高くなっているとCAFは指摘している。例えば、調査対象都市の35%では年間の世帯あたりの水道料金が100米ドル以上、46%では50-100米ドル、19%は50米ドルとなっている。一世帯あたりの平均所得を考慮すると、水道代が所得に占める割合は平均8%となるが、米国の場合は1-2%であり、高い水準となっている。
CAFの見解では、特に水の需要や漏水率が高い都市の水インフラを拡張し、同時に水道網インフラの管理を強化することが必要である。また調査対象都市の40%の主要な水源は地下水であるため、地下水の管理を優先する政策の策定も必要であるとしている。