Foxconn、米ウィスコンシン州に建設するLCD製造工場にZLD技術の導入を発表

台湾企業Foxconn Technology Group社(以下、Foxconn社)は2018年6月19日、ウィスコンシン州Mount Pleasantに新設する自社LCD製造工場への、ZLD(Zero Liquid Discharge)技術の導入計画を明らかにした。同技術の活用によりミシガン湖からの取水量を1日当たり580万ガロンから250万ガロンへと、50%以上削減することが可能となる。ZLD技術導入への投資額は3000万ドル(約332601万円)に上るものの、同技術を介して製造過程で使用された工業排水を敷地内で処理、再利用することで取水量の更なる削減を目指す。

Foxconn社は既に、再生水の利用を通じて製造過程で必要となる水需要量を1日当たり2060万ガロンから300万ガロンへ大幅削減することを計画している。一方、流し台やトイレなど製造過程以外の施設内に使用される水は、地域のRacine市上下水道事業者(Racine Water Utility)が運営する下水道処理施設へ送水、処理後、ミシガン湖へ還元(放流)される。今回のZLD技術の導入により、製造過程で使用される水消費量とミシガン湖からの取水量を更に削減する。Foxconn社最高責任者Terry Gou氏への特別補佐役を務めるLouis Woo氏は、「弊社がウィスコンシン州でZLD技術の導入を決定した一つ理由には、ウィスコンシン州には手付かずの自然が残されており、これを保全する責任がある。同技術は製造工場の操業に必要となる膨大な水消費量を低減する最新技術となる。事業を展開する上で必要となる全ての環境規制を単に遵守するだけではなく、可能な限り同規制要件を超えた取り組みを進める」と述べている。

現在、Foxconn社製造工場への水供給においてミシガン湖(五大湖水域)からの取水が議論の焦点となっており、今回のZDL技術の導入決定は、これを解決する手段となりうるとして注目されている。世界最大の淡水湖系である五大湖水域を保全・管理するため、隣接する全米8州が2008年に五大湖協定(2008 Great Lakes Compact)を締結している。この締結内容の一つに、五大湖水域の水資源を他水域の地区へ利用(転用)することが原則禁止されている。Mount Pleasantに点在する大部分のコミュニティ(村)は五大湖水域に位置しているものの、Mount Pleasantの南西部は五大湖水域外のミシシッピ水域であり、Foxconn社の建設サイトはこれらの水域の分水嶺に跨っている。ウィスコンシン州天然資源局(Wisconsin Department of Natural Resources)は2018年4月、Racine市からの申請を受けて、Foxconn社製造工場とその周辺地域への水供給源として、ミシガン湖から1日あたり最大700万ガロンを取水する例外措置を承認した。しかしその後、League of Women Voters of Wisconsin、Milwaukee Riverkeepers、Minnesota Center for the Environmental Advocacy、River Alliance of Wisconsinといった市民団体や環境保護団体は、同措置は五大湖協定に違反すると、反論している。

州政府が承認したミシガン湖からの取水量700万ガロンのうち580万ガロンはFoxconn社製造工場の操業に活用され、残りは周辺地域の水道事業者や商業顧客等に利用される予定である。また同社が使用する580万ガロンの取水量のうち、300万ガロンは製造過程、240万ガロンは同施設の冷却、残りは施設内の水消費に利用される予定である。

Foxconnによる工場建設プロジェクトの環境側面に関する情報は、以下のウィスコンシン州天然資源局(DNR)のホームページにて掲載されている。
https://dnr.wi.gov/Business/Foxconn.html

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