2018年9月27日、チリ北部の砂漠地帯アタカマ州の環境当局は、ENAPACプロジェクト(太平洋エネルギー・水プロジェクト)と呼ばれる、同州に建設されるラテンアメリカ最大規模の淡水化プラントについて、1年以上前に提出されていた環境影響評価を承認した。
図 ENAPACにもとづくラ米最大規模の淡水化プラント
(出典:ENAPAC)
このプラントの生産能力は平均1000リットル/秒で、初期投資は5億米ドルとなる。生産能力が最大の2630リットル/秒に到達すれば、チリのアントファガスタ州の、生産能力2500リットル/秒のBHPの淡水化プラントを抜いて、ラテンアメリカ最大規模となる。淡水化プラントへのエネルギー供給には、100メガワットの太陽光発電が予定されている。淡水化された水は、1週間分の淡水平均生産量に相当する60万m3の容量の貯水場に輸送されて貯水される。プロジェクトのCEOによれば、建設は2019年の第1四半期に開始し、2021年には完成する予定となっている。
プロジェクトは、チリのトレンド・インダストリアル社と、サウジアラビアのアブドゥル・ラティフ・ジャミール社グループのアルマル・ウォーター・ソリューション社の合弁によるもので、資金の80%は銀行の融資、20%は自己資金となる。自己資金の51%はアブドゥル・ラティフ・ジャミール社が負担して、経営権を確保する。
同プロジェクトは、デザイン界のノーベル賞と呼ばれる、デンマークのDesign to Improve Life INDEXの2019年の賞にノミネートされている他、「ラテンアメリカ淡水化と水の再使用協会」の2018年ALADYR賞の最良の淡水化プロジェクト部門にもノミネートされている。またこのプロジェクトは、チリ経済省の、大型投資イニシアチブをサポートするために創設された「持続可能なプロジェクト管理事務所」にリストアップされている。