カナダ排水処理ベンダSaltworks、南京に中国本社を設置へ

カナダ・ブリティッシュコロンビア州に本拠を構える産業用脱塩技術ベンダSaltworks Technologies(以下、Saltworks)は2018年9月27日、中国・南京に位置するインターナショナル・ウォーター・ハブ(IWH:International Water Hub)に中国本社を開設すると発表した。同社が特許を有する膜技術を中国市場で販売促進するために、来年中国でのパイロットプラントの設置と南京のIWHにおける本社設立の準備を、同社は現在進めている。

IWHは、中国・江蘇省、CPC江蘇省委員会(CPC Jiangsu Provincial Committee)、及びシンガポール貿易産業省(Ministry of Trade and Industries, Singapore)が、南京を流れる中州に共同開発した、総面積約15.21平方キロメートルに及ぶ持続可能な都市「Singapore Nanjing Eco High-Tech Island(SNEI)」に位置する。シンガポールに拠点を構えるデベロッパーSembcorp Industriesが開発したIWHは、R&D事業や技術・イノベーションの共有促進を目的として、国際的な水関連プレイヤが入居する業務用ビルである。水セクタにおける多様なプレイヤを集結させることでエコシステムを構築するとともに、国際社会へ水ソリューションを提供する拠点化を目指す。

Saltworksが有する膜技術“Flex EDR Selective[1]”は、石炭火力発電所における排煙脱硫(FGD:Flue Gas Desulfurization)の排水処理に活用できる技術として期待されている。世界各国で稼働する石炭火力発電所には一般的に、汚染物質の除去を目的としてスクラバが導入されているものの、それに伴い排水が生じることが課題である。そのため、Saltworksの革新的なソリューションを活用し、塩化物を選択的に除去することで、排水の回収、再利用が可能となる。塩分除去を目的としたFGDの排水処理には、化学的に排水を軟水化するためコストが高額となることから一般的に普及していない。そのため、Saltworksの“Flex EDR Selective”を導入することでこれを解決することができる。同技術は、カナダで過去に実施されたパイロットプロジェクトにおいて、Sustainable Development Technology Canada(SDTC)が開発支援した。カナダ政府が設立したSDTCは、国内の起業家が国際競争力を有する新規クリーン技術の開発や導入促進を支援することを狙いとしている。


図 Flex EDR Selective
(出典:Saltworks HP)

Saltworksは当初、カナダ産業研究支援プログラム国立研究委員会(NRC IRAP:National Research Council of Canada Industrial Research Assistance Program)による支援を受け、製品開発を開始した。同社は、NRC IRAP及びグローバル・アフェアーズ・カナダ(Global Affairs Canada)の支援を受けて、最新製品の商業化を進める一環として、南京IWHへ中国本社を開設することに署名した。同社は署名式において、大手石炭火力事業者5社及び上位エンジニア会社等から大きな歓迎を受けた。SaltworksのCEOであるBen Sparrow氏は、「我々は、産業用排水処理の分野において世界的なイノベーションハブとなる南京IWHの一員になることを嬉しく思う。中国における3つの最優先事項のうちの1つに環境保護が掲げられている。中国における環境規制の整備は西部諸国と比較して5倍のペースで進められており、現在中国市場が導入している各種ソリューションは、将来的に世界各国へ普及するだろう」と述べた。

[1] https://cdn.saltworkstech.com/wp-content/uploads/2018/07/Flex-EDR-Specification-Sheet-1.pdf

タグ「」の記事:

2019年12月11日
Suez、ハンガリーのオロスラーニにあるUF膜グローバル製造拠点を拡張
2019年12月11日
金属有機構造体で淡水化用高性能膜を実現へ
2019年6月17日
「ホットスポット」への集中照射で太陽光淡水化の効率を50%改善――ライス大学
2019年1月17日
細菌を使って細菌を殺す濾過膜をつくる技術――セントルイス・ワシントン大が開発
2018年11月8日
液体を使って液体を濾過する技術――ハーバード大が開発