Black & Veatch、全米50都市の上下水道サービス料金の比較と料金形態に関する調査報告書を発表

米ミズーリ州に本社を構えるEPC事業者Black & Veatchは2019年3月7日、上下水道分野に関する新たな報告書を発表し、全米50都市における上下水道サービス料金の比較と収益スキームの確立・維持手法等を示した。

米国の地方自治体(市)や上下水道事業者は近年、上下水道サービスの料金値上げ、インフラ老朽化、運用コストの増加、資金確保や規制遵守の厳格化などの課題に直面しており、上水・排水管理の重要性が注目を浴びつつある。Black & Veatchコンサルティング部門Black & Veatch Management Consultingは、“2018—19 50 Largest Cities Water & Wastewater Rate Survey[1]”を発表し、米国の大都市を中心とした上下水道サービス料金の実態と収益スキームの確立・維持手法等をまとめた。同社は過去にも、同様の調査報告書を定期的に出版しており、今回の報告書は9回目となる。Black & Veatchが今回発表した報告書では、人口が最も多い全米上位50都市を対象としたベンチマーク調査を実施し、上下水道料金を比較した。更に、インフラ整備ニーズの拡大、規制要件の厳格化、気候変動などへ対応しうる財源確保に向けて、上下水道事業者が採用するサービス料金を基盤とした収益スキームを検証した。

一般世帯へ課せられる上下水道サービス料金は2001年以降、最近の物価上昇率を上回る水準で値上がりしつつある。料金の値上げは、以下の様々な要因に基づいている。

インフラの老朽化対策 インフラの老朽化は上下水道セクタにおいて最大の課題である。インフラ整備への資金確保は最優先事項であり、数多くの上下水道事業者は、特定のインフラ建設・更新プロジェクトの実施に向けて、消費者から料金を回収している。
運用コストの増大 人件費、年金負担費、契約サービス額、部材供給費などを含めた運用コストが、物価上昇率よりも高い水準で増加しつつある。そのため、さらに上下水道料金を値上げする必要がある。
インフラ整備への資金不足 上下水道インフラ整備への資金が不足する傾向にある。長期債務の要件が厳格化される傾向にあるため、多くの上下水道事業者は、インフラ整備を行う場合、手元資金や上下水道サービス料金の値上げを通じて資金を調達する必要がある。
規制要件の厳格化 厳格化されつつある規制要件を遵守するため、新たな水資源の開発や水質改善を行うには膨大な資金が必要となる。これが、上下水道料金値上げをもたらす要因となる。

 


図 1か月あたりの平均的な上下水道料金の推移(7500ガロンあたりの金額)
(出典:50 Largest Cities Water & Wastewater Rate Survey)

また今回の調査では、上下水道サービスの料金形態/収益スキームに関して、以下の内容が結論付けられた。

  • 一般世帯向け上水道料金:今回(2018年)の調査において、水道サービスの料金形態が統一化されているとした調査回答者の数は全体の3分の1以上と、前回(2001年)時と同様の水準であった。一方、料金が段階式に減額される形態を採用している事業者の数は前回時と比べて15%減、これに対して世帯収入などの要件に応じて料金が段階式に設定されている料金形態(ティア方式)を採用した割合は、前回の46%から60%へ増加した(下図)。

図 上水道料金形態の内訳の比較
(出典:50 Largest Cities Water & Wastewater Rate Survey)

  • 一般世帯向け下水道料金:調査回答者の18%がティア方式、17%が固定料金方式としているものの、65%の調査回答者が下水道サービスの料金が統一化されているとした。一方、下水道料金が段階式に低減される料金形態を採用しているとの回答がなかった。


図 下水道料金形態の内訳の比較
(出典:50 Largest Cities Water & Wastewater Rate Survey)

  • 商工業(一般世帯以外)向け上下水道料金:一般世帯を対象とした調査の傾向と同様に、商工業用顧客を対象とした上下水道サービスでも、料金が段階式に減額される料金形態から、料金を値上げする料金形態へと移行している。

[1] 以下のページよりダウンロード可能。
https://www.bv.com/insights/how-are-largest-us-cities-managing-rising-costs-water-and-sewer-services#Get

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