2019年3月28日、中国の生態環境部、自然資源部、住房城郷建設部、水利部及び農業農村部、5つの行政機関は「地下水汚染防止実施方案[1]」(以下、「方案」)を発表した。「方案」は、「水汚染防止行動計画」、「土壌汚染防止行動計画」と「農業農村汚染治理攻堅戦行動計画」の内容を結合し、作成された。生態環境部により、「方案」は即日印刷され、実施されるという。
「方案」の主な内容は、以下のとおりである。
主要目標
- 2020年までに、地下水汚染防止法規標準体系と全国地下水環境観測体系をまず構築し、全国における地下水の水質が極めて悪い部分の割合を約15%に抑えること。また、主な地下水汚染源の監視、汚染の深刻化の防止をまずはできるようにする。
- 2025年までに、地下水汚染防止法規標準体系と全国地下水環境観測体系を構築し、全国地級レベル及びそれ以上のレベルの都市における集中式地下水型飲用水源の水質がⅢ類以上の部分の割合を約85%に達成すること。また、主な地下水汚染源の監視、汚染の深刻化の防止が効果的にできること。
- 2035年までに、全国の地下水環境質を全体的に改善し、生態システムの機能が基本的に回復すること。
主要任務
- 地下水型飲用水源の環境安全を保全する:
2020年までに、城鎮、農村(特に1万人以上あるいは一日1000トン以上の水を供給する水源を重点として)における地下水型飲用水源の保護区を設定し、水源保護区周辺の汚染リスクのある汚染源、または違法建築や排汚口などに対し、監視、検査、及び閉鎖などの措置を講じる。
- 地下水汚染に関する健全な法規または標準体系を作成する:
2020年までに、「全国地下水汚染防止計画(2021-2025年)」を策定すること。また、地下水汚染防止プロセスのうち、調査、観測、アセスメント、リスクマネジメント、修復などの分野で、それぞれに係わる技術規範やガイドブックを作成する。
- 地下水環境観測ネットワークを改善する:
2020年までに、地下水観測工程に要求された観測井などインフラ整備を強化または改善する;2025年までに、国家や業界の技術規範に従い、全国地下水環境観測ネットワークを構築し、そのうち、京津冀、長江デルタなどの重点地域では予定より一年早く完成する。
- 地表水、土壌と地下水、または区域間(汚染状況、使用目的により地下水を保護区、制御区、修繕区などに分かれている)の汚染に対する協同の汚染防止活動を推進する。
- 「水汚染防止行動計画」の実施を推進する:
集中式地下水型飲用水源涵養区、化学工業企業、ガソリンスタンド、ゴミ埋立地及び危険廃棄物処理場などの周辺における地下水の基礎環境の調査を推進すること;2020年までに、ガソリンスタンド、危険化学品生産企業、工業団地、鉱山採掘区、尾鉱倉庫、危険廃棄物処理場及びゴミ埋立地などでの漏洩防止改善対策を推進する;2019年6月までに、京津冀など地域は地下水汚染場所のリストを公表する弁法を制定し、汚染リスクの高い且つ公衆健康に大きな影響を及ぼす地下水汚染場所をリストアップして公表し、回復作業を展開する。
「地下水汚染防止実施方案」の原文は、下記のURLより閲覧できる(中国語:簡体字)。
http://www.mee.gov.cn/xxgk2018/xxgk/xxgk03/201904/t20190401_698148.html
[1] 中国語でいう「方案」とは、日本でいう「計画」あるいは「方針」に近い意味を有する。