ベトナム、上下水道事業者に対する投資家の関心が高まる

ベトナムの現地紙が報じたところによると、国内の水セクターでは最近、民営化に伴う国家資本の売却と好調な業績を受けて、上下水道事業者に対する投資家の関心が高まりつつある。上下水道事業者の多くが好調な業績を収めており、高い収益性と安定した配当が確保されたことで、短期的な取引ではなく長期的な投資へ焦点を置く株主が増える傾向にある。

ベトナムに拠点を構える多くの上下水道事業者は2019年上半期の業績が好調であった。Bến Thành Water Supply Joint Stock Company (以下、BTW)は同時期の売上高が前年同時期と比べて3.6%増加し、税引き後利益は同117.7%増となる189億ベトナムドン(約8700万円)に達した。売上原価、販売費、及び管理費の削減に伴い、同社の利益額は、売上高よりも高い水準で伸びた。BTWの株価は現在、今年初頭と比較して85%増となる25,800ベトナムドン(約119.44円)にて取引されている。一方、Bình Dương Water – Environment Joint Stock Company (以下、BWE)も2019年上半期に高い利益を達成している。同社の税引き後利益は、前年同時期比で101.7%増の2074.1億ベトナムドン(約9億6000万円)へ到達した。特に第二四半期単独では、販売やサービス部門の純売上高の増加と売上原価の低下に伴い、税引き後収益は前年同時期比145.6%増を記録した。ベトナムでは60社を超える水セクターの関連企業が証券取引所に上場しているものの、そのうちの大部分は中小企業であり、非効率的な経営や情報公開の遅さが目立っている。

ベトナムでは水セクターを含めた国有企業の民営化に伴い、エクイタイゼーションや国家資本の売却の波が押し寄せており、DNP Water JSC(DNP Water)、Refrigeration Electrical Engineering Joint Stock Company(REE)、AquaOne Water JSCなどの大型投資家の関心を集めている。Đồng Nai Plastic JSC の子会社であり、2017年に設立されたDNP Waterは、10件程度の上水道施設を国内に所有し、50万人以上の顧客に対して上水道サービスを供給している。同社は、クリーンな水道水を供給する浄化プラントを戦略的に開発支援するために、国際金融公社(IFC)から2,490万米ドル(約26億8,037万円)に上る財政支援を、ベトナムの水セクター企業として初めて受領した。DNP Waterは今後5年間に亘り、1日当たり100万m3の容量を持つ水インフラの設備投資を地方を中心に実施する先駆的企業となる。一方、REEは、ホーチミン市にて1日当たり合計120万vの容量を持つ浄水プラント3カ所を所有している。AquaOne Water JSCは、国内で3カ所の施設を持ち、数多くの上下水道事業者へ投資を行っている。

BWEの取締役会長兼ジェネラルディレクターであるNguyễn Văn Thiền氏は、「ベトナムの水セクターの特徴として、水道サービスに対するニーズが高いほか、持続可能な成長が見込めリスクが低いことが挙げられる」と述べた。しかし、顕著な成長を維持するには、サービスの質の改善や適切な料金価格メカニズムの設定、地方への事業拡大が鍵となる。そのため、BWEは2019年8月20日、VietinBankと信用取引契約を締結し、約4兆ベトナムドン(約190億円)に上る資金を獲得(このうちローン額は約3兆ベトナムドン(約140 億円))したことで、数多くの大型上下水道インフラプロジェクトの実施が可能となった。BWEは現在、ベトナム南部に位置するBình Dương県にて、1日当たり45万m3に上る上水道インフラを有している。また、同じ南部のBình Phước県に位置するChơn Thành地区へも、Becamex Bình Phước工業都市地域やその郊外を対象として上水道サービスエリアの拡充に取り組んでいる。

ベトナム建設省によると、同国の都市人口は2020年までに4,400万人へ増加するため、都市部の水供給需要が1日当たり940~960万m3の水準へ増える見込みである。そのため、浄水プラントの新設や既存水システムの改修に約100億ドル(約1兆765億円)が必要となる。今年3月に開催されたドイツ・ベトナム産業フォーラムでは、ハノイ市人民委員会(Hanoi People’s Committee)副会長であるNguyễn Thế Hùng氏が、同都市における水道水のニーズは極めて大きく、水需要量は2020年までに1日当たり約200万m3へ達すると予想した。ハノイ市では、2020年までに水道水へのアクセス度100%を目指し、地方に居住する住民への水供給の割合を増やす予定である。目標達成に向けて、同市当局は、投資家や企業に対して水供給プロジェクトへの投資を奨励している。

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