台湾で2019年11月4日に報じられたところによると、国内で増加する再生水の需要を受けて、台湾内政部営建署は、経済部水利署や地方政府と共同して、計8カ所の再生水処理工場を建設する計画を進めている(下表)。総額172億ニュー台湾ドル(約620億円)を投じる同計画により、1日当たりの再生水供給量は、現在の4万5000トンから2024年には27万6000トンにまで増加する見通しである。
地域 | 地区 | 投資額(台湾ドル) | 再生水供給量 | 供給開始時期 |
高雄 | 鳳山 | 30億600万 | 4万5000トン/日 | 2019年 |
臨海 | 45億5600万 | 3万3000トン/日 | 2022年 | |
台南 | 永康 | 25億7500万 | 1万5500トン/日 | 2023年 |
安平 | 44億5000万 | 3万7500トン/日 | 2024年 | |
仁徳 | - | 1万トン/日 | 2024年 | |
台中 | 福田 | 43億 | 10万5000トン/日 | 2024年 |
豊原 | - | 2万トン/日 | 2024年 | |
水湳 | - | 1万トン/日 | 2024年 |
それぞれの詳細は以下の通り。
高雄市
総額30億600万ニュー台湾ドル(約108億円)を投入して実施された高雄市鳳山区の再生水処理プラントプロジェクト[1]は、2018年8月に第1期工事が完了し、1日当たりの再生水供給量は2万5000トンに達した。その後、2019年8月には第2期工事が完了し、1日当たりの再生水供給量は4万5000トンにまで増加した。これらの再生水は、高雄市臨海工業区の中国鋼鉄に4万4000トン、中鋼アルミニウム業公司に1000トン供給されている。
現在建設中の高雄市臨海再生水プラントは、投資総額45億5600万ニュー台湾ドル(約164億円)で、1日当たりの再生水供給量は3万3000トンに達する見込みである。2022年1月に建設が完了した後、中国鋼鉄に2万トン、台湾中油に1万トン、中国石油化学工業開発に1000トン、LCYテクノロジー(LCY Technology Corp.[李長栄科技])に800トン、LCY(李長栄)に1200トンを供給し、再生水の単価は19.28ニュー台湾ドル(約69.4円)となる見通しである。
台南市
今年の3月27日に着工した台南市永康区の再生水処理プラント建設プロジェクトの投資総額は25億7500万ニュー台湾ドル(約92億7000万円)で、1日当たりの再生水供給量は、2021年に8000トン、2022年には1万5500トンにまで達する見込みである。台湾積体電路製造(TSMC)や聯華電子(UMC)、群創光電(イノラックス)などの大手企業が同プラントの再生水を使用する意向を示している。
台南市の安平再生水処理プラントは、今年の11月に入札や事業者の選定を行う予定で、経費は44億5000万ニュー台湾ドル(約160億円)を見込んでいる。1日当たりの再生水供給量は、2022年6月に1万トン、2024年6月には3万7500トンにまで達する見通し。南部科学工業団地の世界的に有名な大手企業が同プラントの再生水を使用する意向を示している。
台南市仁徳区でも再生水処理プラントの建設が計画されており、1日当たりの再生水供給量は1万トンで、2024年に竣工予定である。
台中市
2024年に完成予定の台中市福田再生水処理プラントの投資総額は43億ニュー台湾ドル(約155億円)で、1日当たりの再生水供給量は10万5000トンに達する計画である。中龍鋼鉄は、同プラントの再生水5万8000トンを使用する見通し。さらに、台中市では、豊原再生水処理プラント(1日当たりの再生水供給量2万トン)、水湳再生水処理プラント(1日当たりの再生水供給量1万トン)が計画段階にあり、後里工業団地や台中工業団地の企業に再生水を供給する予定である。
中時電子報によると、今後、さらに3カ所の再生水処理プラントを建設する計画もあるため、今後、再生水の供給量は引き続き増加していくものと思われる。
[1] EWBJ60号に関連記事あり「台湾・鳳山溪再生水工場のBTO計画が正式に締結――再生水量は1日当たり4万5000トンに達する見込み」