インド、大都市の汚水処理率でさえわずか50%、地方はそれ以下――CPCB報告書

中央公害管理委員会(CPCB:Central Pollution Control Boardは、2009年12月24日、インド都市部の上下水道状況を調査した報告書“Satus of Water Supply, Wastewater Generation and Treatment in Class-I Cities & Class-II Towns of India”を発表した。同報告書により、同国の35の大都市の汚水処理率はわずか50%であることが明らかになった。また、これらの35都市から毎日76億リットルの汚水が、処理されないまま河川や海洋に流入していることも明らかになった。

 

調査は、498のClass-I都市(人口10万人以上)と、410のClass-II市(人口5万人以以上10万人未満)を対象に行われた。同調査により、汚水排出量と設置されているプラントの汚水処理能力の間に大きなギャップがあることが明らかになった。同報告書によると、都市における汚水排出量(Class-IとClass-IIの合計)が1日当たり380億リットルであるのに対して、汚水処理能力は1日120億リットルしかないという。また、Class-I都市に限れば、その汚水処理能力は汚水排出量の32%しかなく、Class-II市ではわずか8%しかないという。50%以上の汚水処理率を有する都市は、Ahmedabad、Chennai、Delhi、 Hyderabad、Ludhiana、Mumbai、Pune、Vadodaraの8都市しかない。

さらに、ただでさえ十分でない汚水処理プラントも、オペレーションやメンテナンスの問題によって、効率的に運用されていないという。同報告書は、既存のプラントの約39%は、環境(保護)規則(Environmental (Protection) Rules)の定める排出基準を満たしていないと報告している。

 

同国の河川は、汚水の垂れ流しによって水質汚染が深刻な問題となっているが、中でも最も大きな影響を受けているのが、ガンジス川である。同河川に流入する未処理の汚水量は、1日あたり124億リットルに達する。環境森林省は、2009年10月、世界銀行から融資を受けてガンジス川を浄化する計画を発表している。

 

処理されていない汚水の排出は、同国の水質汚染の最大の原因である。汚水の排出は、飲料水源を汚染するだけでなく、汚水の肥料としての価値を失うことでもある。同報告書は、汚水を肥料として活用した場合、約11億ルピー(約21億3000万円)の価値があると見積もっている。

 

同報告書は、未処理の排水による悪影響が蓄積すれば、公衆衛生や生態系が広範囲にわたって劣化する可能性があるとしている。

 

CPCBの報告書“Satus of Water Supply, Wastewater Generation and Treatment in Class-I Cities & Class-II Towns of India”は、以下のURLよりダウンロードできる。
http://www.cpcb.nic.in/upload/NewItems/NewItem_153_Foreword.pdf