オーストラリアのヴィクトリア州は2009年7月末、Suez Environment社の子会社Degremontと合弁会社AquaSure社を通して、Suez Environment社に、2011年までにメルボルン市の飲料水需要の3分の1を供給することを可能とする投資総額約28億ドル〈約2600億円〉の海水淡水化プロジェクトの契約を付与した。
このプロジェクトは、官民協力による淡水化プロジェクトとしては世界最大のもので、契約内容には、飲料水生産能力450,000㎥/日のプラントと85kmに及ぶ配水管ネットワークに関する資金調達、設計、建設、及び2039年までの運転業務が含まれている。
この契約業務の遂行により、Suez Environment社には今後30年間に亘り、総額で約17億ドル〈約1600億円〉の収益がもたらされるが、これは2011年までの期間に合弁会社Thiess Degremontにより行われる当該プラントの設計と建設工事、及び合弁会社Degremont Thiess Services社による運転業務によって得られる収益である。
本契約は合弁会社AquaSureに付与されたが、この合弁会社は次の企業群で構成されている。
- Suez Environment/Degremont
- Thiess (オーストラリアの建設及び運転サービス会社)
- Macquarie Group(国際的な金融、財政及び基金管理サービスを提供する企業グループ)
この契約で建設される海水淡水化プラントは、メルボルン市から80km離れたBass海峡に面した場所に位置ししている。同プラントはDegremont社と関連会社の最新の技術を適用して建設され、ヴィクトリア州政府の環境およびエネルギー関連規制を十分クリアするものであるという。また、今後の飲料水需要の推移を見ながら、同プラントの生産能力は600,000㎥/日まで拡張できるよう計画されているという。
このプラントには環境負荷を軽減するためのさまざまな工夫が取り入れられることになっており、それらの主なものは次のものである。
- 周辺環境に一体となった形で取り込まれる。
- 自然環境を保護するために、周辺に生態的空間を創設し、施設の屋根にはルーフトップ式ガーデンを設け、また、野生動物を保護するために敷地内の徹底した植林プログラムを実施する。
- 飲料水を生産し送水するために必要とされるエネルギーは100%再生可能エネルギーを用いる。これは、同州に新たに設置される風力発電よって生産されたエネルギーで主に賄われる。