ニューサウスウェールズ州政府、シドニーでのリサイクル水プラントの建設を認可する

ニューサウスウェールズ州政府は、シドニーのリサイクル水市場での新しい水事業のプレイヤーに認可を与えた。このリサイクル水市場は、毎年何十億リットルもの水を節約しつつ、民間企業による投資資金として1億オーストラリアドル(約76億4000万円)集め、64件の建設関連の雇用を創出するだろうという。

 

2009年5月7日、ニューサウスウェールズ州のRees首相は、2006年水事業競争法(Water Industry Competition Act 2006)に基づきVeolia Water社に最初の認可を発行したと発表した。この認可はRosehill地区でのリサイクル水計画の一環として、Veolia Water社がFairfieldに新しいリサイクル水のプラントを建設、維持、操業することを許可するものである。このリサイクル水計画で、最初はシドニー西部の工業事業者や灌漑をする利用者に、年間43億リットルのリサイクル水を提供するという。

 

2つ目の認可は、改造されたガスパイプ網を通して、利用者へ良質のリサイクル水を輸送できるよう、Jemena社傘下のAquanet Sydney社に発行された。

Rees首相によると、リサイクル水の輸送網の初期段階では、Rosehill地区とSmithfield地区にある7つの大手工業事業者にリサイクル水を提供するという。また、同首相は、これはシドニー西部の工業事業者のための賢明、かつ新しいリサイクル水の輸送網であり、飲料水を節約するとともに、建設関連の雇用創出になると述べており、「主要な顧客にはMarubeni Australia Power Services社、Rosehill競馬場を所有するthe Sydney Turf ClubやClydeにあるShellの製油所がある。政府は、シドニーでリサイクル水の量を増やす水事業に、民間事業者が参入することを支持するという約束を果たした」と付言した。

 

さらに、Rees首相によると、Veolia社のリサイクル水プラントは2011年までに操業する予定で、改造したガスパイプラインを利用してリサイクル水の分配を増やすよう道を開いていくと述べている。また、リサイクル水プラントについて次のように語っている。

「このプロジェクトの初期段階では、Rosehill地区とSmithfield地区にリサイクル水を輸送するための約20kmのパイプラインを利用する。また、ParramattaやWestmead、Wetherill ParkやLiverpoolを含む他のシドニー西部近郊の地域にも、このコンセプトを将来的に拡大する可能性がある」

 

「水のリサイクルは、シドニーでの給水管理に関する政府の計画の中でも重要な部分である。これは我々のダムや、近々完成予定の淡水化プラントを補足するものだ」

Costa水担当大臣は、リサイクル水の利用者や水質、環境を守るため、政府は全ての民間の水道および下水道事業者に対し、厳しい規制を課すという。さらに、同大臣は「シドニーの住民は、世界でも最高基準の水事業サービスを受け、我々はそれを維持していきたい。どんな新しい計画でもオーストラリアの基準を満たす必要があり、産業用プロセスや灌漑用など目的に合うレベルでリサイクル水を処理しなければならない」と指摘する。

リサイクル水プラントの建設は設計の認可を取得後、2009年末から始まることになっている。

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