ベトナムのホーチミン市では、生産・経営・建設活動が活況を呈しており、発展すれば発展するほど、これらの活動から出た汚泥はますます多くなってきている。そこで、市民の生活環境にこれらの汚泥が影響をもたらすとの警告が出された。
約210m3/日のトイレ糞からの汚泥はBinh Chanh郡のDa Phuoc町にあるHoa Binhという廃棄物処理会社の廃棄物処理工場で処理されているが、残りのすべての汚泥は処理されないままというのが現状である。ホーチミン市の資源環境庁の固形廃棄物管理部長Nguyen Trung Viet博士によると、これら処理されないままの他の汚泥は空いている土地の至る所で、こっそりと廃棄されているという。
下水道システムの浚渫過程から出た一部の汚泥はDong Thanhという埋立場のくぼ地に埋め立てられている。他の一部はBinh Chanh郡のDa Phuoc町で廃棄されている。上水生産プロセスから出た汚泥は河川や小川などに逆に垂れ流されている。一方で、建設工事現場の汚泥、とりわけ個人工事の建設現場から出た汚泥、また企業の廃水処理処分プロセスの汚泥は規制当局がさして問題がなかろうとしているところに排出されている。
悩ましいのはこれらの汚泥量が大量に発生していることである。10の都市の中心地区で下水道の浚渫過程から出た汚泥量だけで約70万m3/年に達しており、1日に平均2500~3000 m3/日が発生していることになる。企業の廃水処理プロセスにおいて発生する汚泥量は約200 m3/日であり、建設工事現場での汚泥発生量は約800~1000 m3/日に上る。近い将来、ホーチミン市がゴミ廃棄物が一杯に廃棄されたすべての河川、小川などの浚渫を行えば、その汚泥量はさらに増え、処理されるべき汚泥の量は200万m3に達するだろう。
上記の状況に対処するために、現在ホーチミン市の資源環境庁は汚泥処理計画を立てようとしているが、予想ではその完成は2010年3月と見られている。しかし、汚泥処理費用は安くなく約8~10ドル/m3を要する。ホーチミン市の市民委員会は排出源の事業者が自らの汚泥処理費用を払うよう要請しているが、その処理金額は大きい。同市で毎日排出される汚泥総量は約5000 m3である。従って、毎日、汚泥処理のため、平均5万ドルがかかる。それは同市にとって重すぎる負担だと見られている。