タイの上下水処理市場、2015年には1.7億ドルに――Frost & Sullivan市場調査

地方自治体や産業セクターの需要増を受け、タイの上下水処理市場は、大幅に拡大すると期待されている。エンジニアリング企業やコンサルティング企業は、同国の上下水処理市場に注目しはじめている。また、人口増加や水不足に対する懸念により、政府は上下水処理に積極的な姿勢を打ち出している。

市場調査会社であるFrost & Sullivanが2009年11月23日に発行したレポート“Market Growth Opportunities of Water & Wastewater Markets in Thailand”は、タイの上下水処理市場が、2015年には1億7730万米ドル(約163億円)に達すると予測している。同社のコンサルタントであるMelvin Leong氏によると、タイ政府は、上下水処理の開発と管理のために包括的な対策を講じており、水の安定的な供給を目的として、かんがいプロジェクトに対して継続的に多額の予算を投入しているという。

同国では、サプライヤーを支えるための政府の支援や厳しい規制の施行などが期待されており、また、現地の企業のハイテク技術には限界があるため、海外の企業が製品やサービスを提供する上で非常にオープンな市場となっている。同国で利用されている上下水処理装置の80%は、日本や欧米の企業が製造したものである。

産業セクターの経営状況の好転も、上下水処理施設に対する需要増の原動力となっている。高度な上下水処理技術は、自動車や電子電気機器、紙・パルプ、鉄鋼といった高成長産業において、大きなビジネスチャンスをつかむことができると予想されている。さらに、環境に対する意識が向上し、環境保護のためのグローバル・スタンダードが必要とされていることも、上下水処理市場の拡大を牽引する要素となっている。

これらの好材料にもかかわらず、市場参入者の利益が縮小する可能性もある。競争の激しい市場の中で、製品の質やアフター・サービスに関して妥協をせずに、市場参入者にとって魅力のある価格設定を維持することはできない可能性があるためである。さらに、同国の政治的な混乱が、経済成長の妨げとなる可能性もある。このようなシナリオ下では、水処理プラントの建設や刷新に携わるサプライヤーは、政府の助成金に大きく依存することになる。

助成金に頼ること以外に価格の問題を解決する策として、現地および外国のサプライヤーによるコスト削減がある。この選択肢は、市場参入者の間で歓迎されているものではなく、外国企業と現地企業間のパートナーシップや合弁企業設立によって資金面のリスクを減らすことで、避けることもできる。Melvin Leong氏は、「現在、タイの上下水処理プロジェクトにおいて、企業間でパートナーシップが組まれている事例は限られている。政府および民間企業が実施するプロジェクトへの入札は、もっぱら各企業が単独で行っている。製品やサービス、メンテナンスを提供する上で、よりよいビジネスモデルを作り上げるために、企業には戦略的なパートナーシップを構築することが期待されている」と語っている。

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