2010年3月20日、カナダ環境省は、カナダ国内の都市下水処理施設から排出される排水に関して、カナダ漁業法(Fisheries Act)に基づく、“下水処理施設排出規則(Wastewater Systems Effluent Regulations)”の規則案を、同日付のカナダ官報パートIにて公表した(Canada Gazette Part I, Vol. 144, No. 12)。
この規則案は、下水処理プラントからの排水の水質基準を定めるものであり、また有毒性や、排水と環境のモニタリング、記録の保存、および報告に関して、処理施設が遵守しなければならない条件を規定している。
この規則案の規制影響分析書によると、この規則は、1日に10立法メートル以上の処理排水を排出する施設に適用され、3700ヶ所以上の施設がその対象になる、という。
Jim Prentice環境大臣は、「この規則は、連邦と州政府の環境大臣が集うカナダ環境大臣会議において、2009年にまとめられた“都市下水管理戦略”を達成するために、最重要となる措置である」と述べている。
同規制影響分析書によると、この規則案に盛り込まれた、連邦レベルでの排水に関する基準は、米国やEUにおいて採用されている排水基準と整合性のあるものになる、という。
この排水基準は、以下のように特定の物質に関する許容値を定めるものとなる。
- 生物学的酸素要求量計(BOD):平均濃度で25mg/L以下
- 浮遊物質量(SS):平均濃度で25mg/L以下
- 残留塩素:平均濃度で0.02mg/L以下
- 非電離アンモニア:最大濃度で1.25mg/L未満
今回の基準は、下水処理システムが環境に与える影響を考慮し、リスクが高い施設は10年以内、中程度の施設は20年以内、低程度の施設は30年以内と、3段階的に分けて実施される。