水道の耐震化には、ダクタイル鋳鉄の管と継手を使用するのが最も効果的

上下水道の配管が地震によって受ける影響の研究で、ダクタイル鋳鉄管を離脱防止継手で連結する方法がほかの材質のパイプを使うより影響を小さくすることができるという研究結果が発表された。米国オクラホマ州TulsaのAmerican Cast Iron PipeのシニアセールスエンジニアMichael Tuckerが米国水道協会の機関誌の2010年5月号に発表したものである。

「きれいな水を供給し、使用済みの水を流し去る配管は、私たちの暮らしにとって不可欠のものである。水道会社によっては、コミュニティに水を供給する水源がひとつしかなく、1本のライフラインだけで事業を運営している場合があり、どうすればこれらの配管を地震から最も効果的に守れるかを考えておく必要がある」Tuckerはそう述べている。

この研究では、1964年のアラスカ地震、1989年のロマ・プリエタ地震(カリフォルニア州)、1994年のノースリッジ地震(同サンフェルナンド・バレー)などの米国の近年の地震による水道配管の破損のデータが再検証されている。

「これらの地震は、再三にわたって、高強度の可撓性のあるパイプを可撓性のある継手で連結する必要があることを実証している。パイプや継手に可撓性があるかないかによって、パイプラインの地震の振動やエネルギーに抵抗する能力が変わってくるのである」Tuckerはそう書いている。

彼の研究結果は、ダクタイル鋳鉄の管と継手が最も性能に優れていて、構造上の損傷が生じる可能性が最も少ないことを示している。逆に、破損率が最も高かったのはアスベストセメント製のパイプで、プラスチック製のパイプは継手のところで破断しやすいことが判明した。

「この国の地震帯に位置する中規模以上の水道会社は通常、川の横断箇所用に設計されたダクタイル鋳鉄の管と継手を使用している。この方法が地震の揺れに耐えるには最も効果的であることが証明されている」Tuckerは、そう書いた上で、それ以外の、とりわけ地方の小さな水道会社について、次のように述べている。「地震帯に位置するところは、自社のシステムで最も重要なライフラインを再評価し、それらのライフラインを最優先して改良もしくは交換を行い、耐震性を最高度に高めておく必要がある」また、新たに水道を引く場合については、最初の計画段階においてシステムの信頼性をよく検討すべきだとした上で、次のように述べている。「システムを耐震化させることによって、最初にかかる経費が増大するが、長い目で見ると、そのほうが経費の節約になるだろう」

American Cast Iron Pipeは、米国アラバマ州に本社を置く1905年操業の会社であり、水道産業用のダクタイル鋳鉄管、消火栓、バルブや、石油・ガス産業用の電気抵抗鋼管を製造している。

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