米国カリフォルニア州の環境保健有害性評価室(OEHHA)は2010年12月31日、健康保護のための目標として0.02 ppbという飲料水に含まれる六価クロムの濃度を提案した。
同室は、2009年8月に六価クロムの安全濃度として0.06 ppbを提案したが、最終決定されなかった。
OEHHAの新しい公衆衛生目標は、環境保護団体が連邦の環境保護庁(EPA)に飲料水中の六価クロムに厳しい基準を定めるよう圧力をかけているときに、2009年8月の提案をアップデートした技術文書案のなかで発表された。
カリフォルニア州の公衆衛生局(DPS)は、この公衆衛生目標を用いて六価クロムの最大汚染物質濃度を定める。同州の法律では、基準は、経済的・技術的に可能である限り、公衆衛生目標に近く設定しなければならない。
OEHHAは、この厳しい公衆衛生目標について次のように述べている。
l 新しい研究で、幼児などの影響を受けやすい人々は、一般の人々より発がん性物質への暴露による影響を受けやすいことが示唆されている。
l 上記技術文書案を検討した独立した科学者の委員会は、0.02 ppbより厳しい公衆衛生目標を勧告している。
l 0.02 ppbは、OEHHAの幼い人への暴露の新しい指針を反映している。
l 0.02 ppbという公衆衛生目標案は、100万人当たり1人ががんにかかる危険率を表していると言え、これは70年間毎日六価クロムを0.02 ppb含む水道水を飲んでいる人100万人ごとにこのクロムへの暴露によって1人ががん患者になるということを指している。
ところで、六価クロムは、金属合金処理、めっき、革なめし、織物製造などさまざまな生産工程で使われている。六価クロムはまた、天然にも存在するが、植物、動物そして人のなかでは通常害の少ない金属である三価クロムに変換されている。
生産工程で使われた六価クロムによってカリフォルニア州のいたるところで地下水源が汚染されている。DPSは2010年に、州内の2,208カ所の地下水源の六価クロム濃度は1ppb以上であると報告した。
OEHHAは、今回の提案のなかで、最近の調査で六価クロムへの経口暴露によって人にがんが発症する可能性があることが示されていると述べている。