米EPA、飲料水中の過塩素酸塩や有害化学物質の規則の作成へ

米国環境保護庁(EPA)のLisa P. Jackson長官は2011年2月2日、米国民をすべての潜在的な健康への影響から守ると同時に引き続き米国民が飲む水の水質を確保するための措置を講じながら、過塩素酸塩(パークロレート)の規則の作成を進めるという同庁の決定を発表した。

初めての過塩素酸塩の国家基準の作成に着手するこの決定は、前政権が行った決定をくつがえすもので、Jackson長官がEPAの科学者に過塩素酸塩の明らかになりつつある科学的知識の徹底的な見直しに取りかかるよう命じた後に行われた。

過塩素酸塩は、自然に存在するが、人工的にも合成できる化学物質で、科学的調査では発達に必要な重要なホルモンを作り出す甲状腺の正常機能に影響を与える恐れがあることが示されている。甲状腺ホルモンは、胎児、幼児、子どもの正常な発達や成長にとって欠かせないものである。EPAは、この潜在的な懸念に基づいて、正式な規則案の作成に取り組むつもりである。このプロセスには、主な利害関係者から情報を受けたり、どのような正式規則でもパブリックコメント・プロセスに提出したりすることが含まれる。

EPAは上記と別に、人の健康にリスクをもたらす恐れのある最大で16種の化学物質群に対処するための飲料水基準の制定についても進めている。Jackson長官が2010年に示した「飲料水戦略(Drinking Water Strategy)」の一環として、EPAは、飲料水の保護の強化がコスト効率よく達成できるように、汚染物質ごとではなくグループとしての対処に取り組んでいる。2月2日の発表は、飲料水に含まれる汚染物質からの人々の健康の保護を強めるという約束を果たすものである。

過塩素酸塩とほかの化学物質群に対するさらなる情報とEPAの活動については、次のとおり。

【過塩素酸塩】
モニタリング・データでは、4 %を超える公共上水道で過塩素酸塩が検出されており、500万人~1700万人の人々に過塩素酸塩を含む飲料水が供給されている恐れがあることが示されている。
EPAの今回の決定を招くことになった科学的知識は、独立した科学者や全米科学アカデミーなどの公衆衛生の専門家によって検討されている。
過塩素酸塩は、ロケット燃料、花火、爆発物の製造に使われているが、漂白剤やいくつかの肥料に存在する可能性がある。
EPAは、引き続き過塩素酸塩の健康への影響に関する科学的知識や公共上水道における存在について検討するつもりである。同庁はまた、過塩素酸塩を除去するための処理技術の実行可能性やコストの妥当性の検討を始め、さらに予想される基準の費用と便益についても調べる予定である。

【ほかの化学物質群】
対象とされる化学物質は、たとえば、工業用溶剤などとして使われている揮発性有機化合物(VOC)で、生産工程から排出されるトリクロロエチレンとテトラクロロエチレンやほかの規制中あるいは未規制の汚染物質である。

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