タイの特定工場に課される排出報告義務

タイでは、特定の工場を操業する際には、排出報告書の提出が求められる。従来、この報告書は、紙媒体によって提出されていたため、年1回の報告となっていたが、2007年に電子フォームが導入され、6ヶ月毎に報告が求められるようになった。

そして、2010年8月10日、工業省工場局(DIW)は、2007年の告示に代わる新たな告示を官報にて公布した。本告示は、その付属書に掲載される特定産業施設に対して、排出報告書の提出を義務付けている。したがって、対象施設は、排水に関しては、BOD、COD、pH、浮遊物質、重金属等の指標について、また排気に関しては、NO2や浮遊粒子状物質、VOC等の指標について、排出状況を報告しなければならない。付属書に掲載される対象施設は、以下のものである。

  工場タイプ
(分類番号)
工場規模 水質汚染物質
排水報告
大気汚染物質
排出報告
1 砂糖およびその関連産業
(11(3), 11(4), 11(6))
すべての規模 (11(6)については、生産量50トン/day以上) Yes Yes
2 製紙
(38(1, 38(2))
生産量50トン/day以上 Yes Yes
3 化学 (42(1)) 生産量100トン/day以上 Yes Yes
4 肥料・殺生物剤 すべての規模 Yes Yes
5 レジンおよびプラスチック (44) 生産量100トン/day以上 Yes Yes
6 石油精製 (49) すべての規模 Yes Yes
7 セメント (57(1)) すべての規模 No Yes
8 鉄鋼 (59) 生産量100トン/day以上 Yes Yes
9 すべての金属(鉄鋼を除く) (60) 生産量50トン/day以上 Yes Yes
10 発電所 (88) 発電容量10 MW以上 Yes Yes
11 ガス生産 (天然ガス除く) (89) すべての規模 Yes Yes
12 廃棄物処理 (101) すべての規模 Yes only for wastewater No only for wastewater
13 埋立地あるいは有害廃棄物収集 (105) すべての規模 Yes Yes
14 リサイクル (106) 処理能力50トン/day以上 Yes Yes
15 排水を行うすべての工場 排水量500m3 /day以上またはBOD負荷量が 100 kg /day以上 Yes No
16 亜鉛、カドミウム、シアン化物、リン等の特定の化学物質を使用するすべての工場 排水量50m3 /day以上 Yes No
17 ボイラあるいは工業炉を使用するすべての工場 – 工業炉
馬力換算で1000馬力以上
– ボイラ
10トン/hour以上の蒸気量(液体および固体燃料)
– ボイラ
20トン/hour以上の蒸気量(気体燃料)
No Yes
18 製造工程において揮発性有機化合物(VOCs)を使用する工場 VOCs使用量が年間36トン以上 No Yes

上記の表に該当する施設は、毎年、上半期(1~6月)の排出データを7月31日までに、また、下半期(7~12月)のデータを翌年1月31日までに、電子フォームにて提出しなければならない。データ不十分との通知をDIWから受け取った場合には、通知受領後45日以内に、データを修正することが求められる。

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