ドバイ、電力・水プロジェクトへの民間参入のための新法を制定

アラブ首長国連邦のドバイ首長国は2011年4月4日、発電と造水への民間参入のための新法(2011年の法律第6号)を制定した。この直接のきっかけとなったのは、ドバイ初の独立資金による発電プロジェクトとして現在入札募集中のAl Hassyan独立系発電プロジェクトだが、この法律はドバイのユーティリティ全般にとって、民間参入の道筋をつける重要な意味をもっており、官民協力のはたす役割の大きいドバイにあっては、他の部門でも同様の立法がおこなわれるための呼び水となる可能性がある。

これまで、アラブ首長国連邦では、発電と造水に関して民間へのコンセッション付与を定めた法令があるのはアブダビ首長国だけだった。この点に関して、ドバイはアブダビとも、独立系発電事業(IPP)プログラムに乗り出した他の湾岸諸国とも異なっていた。これは、ドバイ電力水道公社(DEWA)の調達戦略を反映したもので、DEWAはこれまでもっぱら、伝統的な調達方法(すなわち、建設のみ、設計プラス建設、などなど)による競争入札という方式を用いてきた。

新たに制定された2011年の法律第6号(DEWA法)は、ドバイの電力・水道部門に民間がエクィティ・レベルで参入することを可能にする規制の基本的枠組を定めている。DEWA法の骨子は以下のとおりである。

ドバイにおいては、電力・水道部門の規制官庁である規制・監督局の許可なしにはいかなる発電も造水もおこなってはならない。この許可取得を要しない唯一の例外は、DEWAのみである。

規制・監督局は、ドバイにおける発電・造水の基準と管理規則を制定することができる。(この規制・監督局と同じ名称の官庁がアブダビにもあり、これも電力と水の規制機関なので、混同しないように注意が必要である――www.rsb.gov.ae)
発給する許可の内容(数量や業務内容)は、DEWAの勧告にもとづいてエネルギー最高評議会が決定する。許可の申請は規制・監督局に対しておこない、同局はエネルギー最高評議会が承認した技術、資金、および規制面での条件に照らして許可申請を評価する。規制・監督局はすべての許可(および特定の許可条件の適用放棄)を公表しなければならない。

ひとつ重要なのは、規制・監督局が、すでに発給した許可(または特定の許可条件の適用放棄)を、公共の利益のために変更する権限を有することである。変更の通知を規制・監督局から受けた被許可者は、その変更の発効を避けるためには通知受領後30日以内に異議を申し立てなければならない。規制・監督局は異議を審査し、これを認めない場合は、異議は自動的にエネルギー最高評議会の審査に付される。

DEWA法はまた、DEWAがプロジェクト会社を自前の出資または第三者との共同で創設することを認めている。これも重要なことだが、DEWA法は、この第三者がアラブ首長国連合に籍を置くものでなくてもよいこと、また、他の場合には適用される政府調達の法令による制限にかかわらず、エネルギー最高評議会の基準に照らしてDEWAがその第三者を選ぶことも規定している。(この法律は、すべての許可がプロジェクト会社にあたえられなければならないとまでは言っていない。しかし、この点については、エネルギー最高評議会と規制・監督局からの通達でやがて明確になることになっている。)

DEWAは、自らが所有する土地の権利をプロジェクト会社に最長で99年間貸与することができる。

生産された電力と水はすべてDEWAに販売しなければならない。被許可者は他のいかなる者にもこれを直接販売してはならない。

被許可者とDEWAとのあいだの契約はドバイの法律に支配され、ドバイの紛争解決手続き(調停を含む)にしたがうものとする。ただしこれは、被許可者が他の法律および紛争解決手続きに照らして第三者と契約を結ぶことを妨げるものではない。

DEWA法は、ドバイのユーティリティ部門の発展のための重要なステップといえる。ドバイ政府は、電力と水の資産へのさらなる投資機会が今後どのようになるかについて民間部門により明確なビジョンを示し、投資家の信頼を増すための保護策を講じるためにも、この法律をさらに変えていく必要があろう。民間の視点から見ればDEWA法のいくつかの部分に改善の余地があることは疑いのないところだが、当面は、この法律が貴重なベースとなり、エネルギー最高評議会が公布する規則類によってより完成されたものになっていくものと考えられる。

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