インフラを中心とした法律顧問業務で世界的に知られるPinsent Masonsはこのほど、Pinsent Masons Water Yearbook 2011-2012を公表した。これは、Pinsent Masonsが毎年発行している世界の水ビジネスを概観する報告書の最新版で、今回の2011~2012年版では、業界で近年起きている劇的な変化にスポットが当てられている。
トップ5社のシェアが10年で半分以下に:
報告書は、21世紀初頭の大手5社――Veolia Water、SUEZ Environment、SAUR、Agbar、およびRWE――の民営水道事業におけるシェアがここ数年で急落し、いまやVeoliaとSUEZのビッグ2の時代に突入するとともに、よりローカルな事業者の市場進出が目立ってきたことを示している。
2001年、上記トップ5社のサービス人口は、世界の民営水道事業者の全サービス人口のじつに73%を占めていた。これが、2005年を過ぎてから急激に減りはじめ、2011年にはついに31%にまで落ち込んだ。ちなみに、VeoliaとSUEZのシェアの落ち込みはそれほどでもなく、他の3社の落ち込みが激しい。こうした劇的な変化の原因のひとつとして、Pinsent Masonsは中国における地域ユーティリティの成長を挙げている。すでに現在、中国では5社の民営水道事業者が1500万人以上にサービスを提供している。
こうした近年の傾向について、Pinsent Masonsで水ビジネス関連を統括するMark Laneはこう述べている。「重要なのは、大手があまり熱心に手を伸ばさない地域に、規模はそれほど大きくはないが地域への密着度が比較的高い企業が足を踏み入れるケースが目立ってきたことだ。こうした企業はまた小回りもきくため、従来型のアプローチではじゅうぶんなサービスを提供できなかった状況下でも新たな対応をとることができる」
民営水道事業は今後急速に伸びる見込み:
報告書はまた、世界の民営水道事業の今後の急速な伸びも予想している。2009年、民営水道事業全体のサービス人口は世界人口のわずか5%にすぎなかったが、これが2011年末には13%になり、さらに2025年には21%にまで達すると報告書は予測している。