インドで初の公共上水道運営・保守の民間委託契約が、Veolia Waterのインド法人Veolia Indiaと現地のインフラ・エンジニアリング企業Vishvaraj Environment Limited(インド中部のナーグプル市に本社を置くVishvaraj Infrastructure Limitedの子会社)との合弁会社、Orange City Water Limited(OCWL)と、ナーグプル市当局とのあいだで交わされた。
契約の調印は2011年11月17日におこなわれ、OCWLのAnil Lakhani社長、ナーグプル市のSanjeev Jaiwawal管理官、および同市の特殊法人Nagpur Environmental Services LimitedのS. Hastak理事長が契約書に署名した。これにより、OCWLはナーグプル市の上水道の運営・保守を一手に引き受けることになった。
インド初の全市規模の官民協力事業――他の都市も追随か:
今回OCWLが獲得したのはナーグプル市の上水道プロジェクトの25年契約で、これを先例として、インドの他の都市のなかにも上水道の民間への委託に動くところが出てくる可能性がある。インドの都市の多くは、水需要の増大への対処、無収水の削減、漏洩の多い水道インフラの補修といった課題を抱えている。
すでにいくつかの都市が、水道料金の設定権は市当局が握りつつ、水の供給、課金、集金、および水道システムの運営と保守に関する一切を民間に委託するという選択肢を模索しているところである。
OCWLはまもなくこのプロジェクトに着手することになるが、これはまた、インドにおける初めての「全市規模の」官民協力(PPP)プロジェクトでもある。このプロジェクトでOCWLは、浄水プラントから利用者の蛇口にいたるまでの全水道システムを管理・運営し、課金と集金も受け持つ。
スラム街にも水を供給、老朽インフラの交換も:
この画期的なプロジェクトによって、ナーグプル市はスラム街の住民も含めてすべての利用者への安全で持続可能な水供給を実現するとしている。供給する水は世界保健機関(WHO)の水質基準を満たすもので、断水することなく一定の水圧で利用者のもとへ送られる。
報道によると、OCWLは契約の一環として、取水、浄水から、輸送、貯蔵、配水にいたるまでの飲料水サイクルのすべてを管理する。取水した地表水は、総処理能力が日量72万立方メートルの5つの施設で浄水し、総延長2500キロメートルの水道管を通して30万ないし40万の需要家のもとに配水する。
OCWLはまた、老朽化して漏洩のひどい水道インフラを新しいものに交換し、水がじゅうぶんな圧力で効率よく供給できるようにする。
ナーグプル市のArchana Dehankar市長は、同市がOCWLに対し、まず公平を旨として配水をおこなうよう要請したと語っている。ナーグプル市では現在、1日おきにしか水道の水が出ない地域がいくつかある。
Dehankar市長はさらにこう述べている。「最初の段階では、古い水道管路の整備にとりかかるよりも、むしろ、1日おきとか、よくて1日に3時間か4時間ぐらいしか水が出ていない地域に確実に水がいきわたるようにすることを、OCWLに要請している。われわれはこのために、1日12万立方メートルの余分な水を見込んでいる」