「仏暦2535年(1992年)国家環境保全推進法」の第73条(2)では、廃水処理プラントの運営または廃水処理ビジネスへの許認可付与に関する、いかなるプロセスも天然資源環境省の定める規則の下で実施されなければならないと規定しており、また同法の第73条(4)では、廃水処理費用は、同省が定める規則で示される額を超えてはならないと規定している。しかしながら、2012年4月現在、この規則はいまだに制定されておらず、現状、工業廃水処理事業者には工場法(1992年)に基づく許認可が与えられている一方、その他の排水処理施設は許認可を与えられることなく事業を行っている。
地方自治体は下水処理費用の徴収に問題を抱えており、また多くの都市で下水処理プラントの運営がうまく行われていないことから、公害管理局は、2011年、廃水処理に関する天然資源環境省令の草案を作成した。2012年4月現在、同草案は法制委員会事務局で審議中である。この省令が施行されれば、工業排水も含め、国内の全ての廃水処理プラントの運営者は、地方自治体から許認可を取得することが必要となる。
検討中の省令案は、以下の大きく分けて6つのセクションより構成されている。
- 許認可の発行(第3~7条)
廃水処理プラント運営の許認可発行の要件を記載。通常、要件を満たすためには、関連分野における専門的な工学系の資格を有する者、もしくは科学技術系の資格を有する者に限る。許認可の有効期限は5年間である。 - 運営管理(第13~21項)
廃水処理プラントの運営者は、許認可が発行された分野においてのみ作業可能となる。また、稼働前に、地方自治体に運営計画を提出しなければならない。また、プラント運営状況に関する情報を集め、当局の検査に際して提示できる報告書を作成しなければならない。 - 許認可の更新(第22、23項)
許認可の更新は、失効の45日前までに行わなければならない。審査に際しては、「1.許認可の発行」で示されている許認可延長の要件を検証する予定である。 - 許認可を紛失した場合における一時的な許認可の発行(第24、25項)
- 許認可の停止および取消(第26、27項)
「2.運営管理」の規定を順守していない運営者には、地方自治体から通知が届き、指定の期日までに是正するよう勧告される。それに対して何も対応がない場合、15日間の許認可停止処分が下される。その後も改善がなければ、許認可は取り消される。 - 許認可発行の手数料および廃水処理費用(第28項)
一律、申し込み手数料は40バーツ(約100円)であり、許認可発行手数料は4000バーツ(約1万円)となる予定である。また、徴収できる廃水処理費用の上限は以下のように指定される(いずれも1 m3当たり)。
市民:25バーツ(約63円)
商業または農業事業者:40バーツ(約100円)
工業事業者(生物処理):50バーツ(約125円)
工業事業者(化学処理):5万バーツ(約12万5000円)
本省令(案)は、法制委員会事務局により見直しが行われた後、天然資源環境省大臣へと送付され、承認されたのちに政府官報にて公布される。