オーストリアのRichard Seeber議員による、水資源に関する基本的かつ普遍的な権利を定めた決議が、2012年7月3日、欧州議会で承認された。浄水価格の透明性、廃水管理の改善、ブルーフラッグ認証の拡張、大量に水を使用する分野(エネルギーや農業など)に対する節水を促進するための補助金などのテーマが議会で審議された。
同決議の中で、優先されるべき課題として挙げられたのが「水消費量の削減」である。議員らは、欧州都市部に供給されている浄水の約70%が漏水している可能性を憂慮しており、水供給網の現状を調査すること、さらに上水道インフラへの投資を促進する必要性を強調した。一方で、議員らの指摘によると、EU内の浄水の約20%は、その効率性の悪さによって失われているという。
今回の決議の内容は、2012年11月に欧州委員会から公表される予定である「水の安全保障のためのEU基本環境政策(Blueprint)」に盛り込まれていく。
主な決議内容:
- 浄水価格の透明性
浄水価格の決定には、社会的な問題を考慮しつつも、「汚染者負担」および「利用者負担」の原則を基にすることを、欧州委員会および各加盟国に対して求めていく。 - 廃水管理の改善
環境的かつ経済的に優れた、水の公衆衛生および廃水管理に関する政策では、水源の汚染対策および廃水利用者へのインセンティブを設定するべきである。また、関連する全てのセクターが水資源の監視を実施するべきである。 - ブルーフラッグ認証の対象分野の拡張
海岸の安全性を評価するEUのブルーフラッグ認証を、河川や湖を含む、欧州の全ての水域に拡張するべきである。 - シェールガス開発に伴う環境汚染
シェールガスの探査および抽出には、表層水および地下水に対する重大な環境悪化をともなうため、事前の環境影響評価の実施を規定する施策を欧州委員会に対して要求する。