EU水規制の優先物質リストを改定する欧州委員会の指令案に多数の加盟国が反対

欧州委員会は2012年1月末に水枠組み指令(2000/60/EC環境質基準(EQS)指令(2008/105/ECを修正する指令案(COM2011(876))を発表し(順に下記URLで閲覧可能)、この中で水枠組み指令の規制物質リストに新たに3つの医薬物質を追加することを提案しているが、これに多数のEU加盟国が反対している。一部の国々は、その他の部分についても難色を示している。
http://eur-lex.europa.eu/LexUriServ/LexUriServ.do?uri=OJ:L:2000:327:0001:0072:EN:PDF
http://eur-lex.europa.eu/LexUriServ/LexUriServ.do?uri=OJ:L:2008:348:0084:0097:EN:PDF
http://ec.europa.eu/environment/water/water-dangersub/pdf/com_2011_876.pdf

次の環境閣僚理事会(2012年6月11日に開催予定)に向けて、EU閣僚理事会の現議長国デンマークが作成した資料(下記URLで閲覧可能)で、本件に関する協議での各国代表の発言が明らかになった(誰の発言かは記されていない)。発言は、指令案が提案する優先物質リストに係る様々な変更に関するもので、そうした変更案の一つには避妊薬(EE2およびE2)と抗炎症薬ジクロフェナクに用いられる2物質に関してEQSを定める案も含まれている。また指令案は、上述の3つの医薬物質のほかに12物質をリストに追加することや(うち6物質は優先有害物質として追加する)、既にリストに入っている4物質のEQSを、より厳しくすることも提案している。
http://register.consilium.europa.eu/pdf/en/12/st10/st10741.en12.pdf

一部のEU加盟国は、こうした提案の科学的根拠が不十分と見ている。欧州委員会は、提案は徹底的な状況評価に基づいたものであると反論している。また、提案の有効性を疑う声も出ている。いくつかの物質は、水関連ではなく製品関連のEU法で規制すべきと考えている国々もある。このほか、環境や人にリスクを及ぼす可能性のある化学物質を監視リストに挙げてモニタリングする制度案については、一部の国々が自主参加型にすべきとし、対象物質も減らすべきとしている。欧州委員会は最高で25物質(物質グループ)を監視リストに加えるよう提案している。一方、普遍的な残留性・生物蓄積性・毒性物質(ubiquitous-PBT)とされる8つの優先物質の監視について欧州委員会が提案している柔軟性は、各国とも支持している。河川の化学物質の状況評価の際にu-PBTを対象外とすることまで提案している国々もあるが、欧州委員会は反対している。

上記資料によると、欧州議会では、同法案は11月6日に環境委員会を通過し、2013年1月以降に本会議での第一読会が終わる見通しだという。

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