米ニュージャージー州知事、シェールガス採掘で生じる廃水の州内処理・処分を禁じる法案に拒否権行使

ニュージャージー州のChris Christie知事は2012年9月21日、シェールガス採掘で生じる廃水を同州内で処理または処分することを禁止する法案に拒否権を行使した。

ペンシルヴェニアなど他州からの採掘副産物の受け入れを禁止するようかねてから求めていた環境団体らは、この拒否権行使に失望はしたものの、これは予想の範囲内だとしている。シエラ・クラブのJeff Tittelはこれにただちにコメントし、知事の拒否権行使を無効にするオーバーライド採決を州議会に強く求めると述べた。ただ、オーバーライドは、同州議会で民主党が他のいくつかの法案についてすでに試みているが、ことごとく失敗に終わっている。

知事の拒否権行使の理由:

Christie知事は拒否通告書のなかで、今回問題になっている廃水を生じるようなシェールガス採掘法――水圧破砕法――がニュージャージー州内で近い将来に実施される可能性はきわめて低いと述べている。また、連邦の環境保護庁(EPA)が現在、水圧破砕について調査しており、水圧破砕のガイダンスが2014年以前には公表されないと見られているこの段階で、その採掘法から生じる廃水の処理・処分を禁止するのは時期尚早であるとも述べている。

拒否通告書のなかで、Christie知事はさらに次のように述べている。「この法案をめぐっては、公開の場で活発な議論が交わされたが、水圧破砕法のメリットについての意見の一致は得られていない。しかし、それにもかかわらず、ひとつだけ、議論の余地がなく、州議会とわたしが基本的に一致していることがある……水圧破砕は現在ニュージャージー州で実施されていないし、また、予見可能な未来においても実施されるとは考えにくいということだ」

なお、ペンシルヴェニア州環境保護局の追跡調査によれば、同州の採掘廃棄物の一部がニュージャージー州に搬入されてはいるが、それは水圧破砕を実施する前に生じた廃液その他であって、水圧破砕そのものから発生した廃棄物ではないという。

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