米EPA、石油・ガス採掘廃水の有効利用に向けた調査報告書草案に対するパグリックコメントを募集開始

米環境保護庁(U.S. Environmental Protection Agency、以下EPA)は2019年5月下旬、石油・ガスセクタを対象とした廃水の管理や有効利用に関する調査報告書草案に対するパブリックコメントを募集開始した。同報告書は、石油・ガスセクタの廃水管理や規制に関する現状に対する、EPA、州政府、先住民等のステイクホルダーによる考え方を総括的に纏めたほか、廃水を回収し有効利用する提案を行うことを目的としている。


図 随伴水管理の様々な選択肢
(出典:Study of Oil and Gas Extraction Wastewater Management Under the Clean Water Act)

EPAは2018年5月、石油・ガス採掘に伴う廃水管理に関する調査研究(Study of Oil and Gas Extraction Wastewater Management)に着手すると発表した。同庁は、州政府、先住民、産業セクタ、学術機関、環境保護団体、公衆衛生機関など、多様なステイクホルダーからの意見収集を目的とした総括的な調査を実施した。調査手法には、特定の機関や団体との個別面談、政府規制関連ウェブサイト「regulations.gov」上に掲載した公式発表(public docket)を通じた書面上の意見収集、2018年10月に開催した全米規模のパブリックミーティングの開催等が含まれている。このパブリックミーティングでは、EPAが過去学んだ教訓を報告するとともに、意見募集に向けて新たな機会をステイクホルダーへ提供した。

ステイクホルダーから受け取ったフィードバックやウェブサイトの公式発表を通じて収集したコメントなどに基づき、石油・ガス採掘に伴う廃水管理に関する調査報告書草案が作成された。乾燥地域などの水資源の確保が困難な地域では、石油・ガス採掘時に発生する廃水を表面水へ放流するなど、新たな水資源としてニーズが高まりつつあることから、多くのステイクホルダーは、廃水の有効利用を支援する考えを示した。一方、廃水の表面水への放流は少なくとも現時点で潜在的な環境への影響があるとの声が、一部の関係者の間で聞かれた。

EPA水支援管理室長(EPA Office of Water Assistant Administrator)であるDavid Ross氏は、「EPAは、調査書草案を策定する上で、石油・ガスセクタから発生する廃水の有効利用に対する機会や課題を把握するために、州政府、産業界やその他の関係機関の専門性を活用した。廃水の有効利用や総括的な管理を促進する、実用的で環境に配慮したアプローチを検討するために、パブリックエンゲージメントを継続的に行うことにEPAは期待を寄せている」と述べた。また、ユタ州環境質局(Utah Department of environment Quality)のエグゼクティブディレクターを務めるAlan Matheson氏は、「ユタ州のような乾燥地域では、新たな水資源の潜在性を無視することはできない。EPAが同調査を通じて提供する価値のある情報に我々は感謝しつつ、廃水(処理水)に関する水量や水質に関する課題解決に向けて、EPAや州政府、他のステイクホルダーとともに取り組んでいく」と述べた。

EPAは2019年7月1日まで調査報告書草案に対するパグリックコメントを募集しており、oil-and-gas-study@epa.govへコメントを送付することもできる。EPAは、パブリックコメントを踏まえて、2019年夏に調査報告書を最終化する予定である。同庁は、水質浄化法(Clean Water Act)に基づき、石油・ガス採掘時に伴う廃水の有効利用を促進するために将来講ずべき適切な措置(規制または任意アプローチ)を必要であれば決定する方針である。

調査報告書草案は以下よりダウンロード可能。
https://www.epa.gov/sites/production/files/2019-05/documents/oil-and-gas-study_draft_05-2019.pdf

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