米EPA、気候変動の影響に対処するための水プログラム戦略を発表

米国環境保護庁(EPA)の水局は2012年12月13日、水関係インフラ、流域と湿地、沿岸水域と大洋水域、水質、そして部族に及ぼす気候変動の悪影響に対処するための長期戦略を発表した。

これは、National Water Program Strategy 2012: Response to Climate Change(国家水プログラム(NWP)戦略2012年:気候変動への対応)という報告書で、その要点を以下に示す。

  • この報告書は、EPAが、既存のプログラムを使って、温室効果ガス(GHG)の排出を減らすために、エネルギー効率改善と再生可能エネルギーの利用の普及を促進する方法を明らかにしている。また、グリーンインフラを用いて、水道施設における節水と再利用を促す方法を説明している。
  • この報告書は、不利な気候条件によって引き起こされる可能性がある今後の水不足を防ぐため、州政府と協力して水源水保護計画を作成するようEPAに勧めている。
  • この報告書の目的は、飲料水が安全であることを保証し、魚類、植物、野生生物などを支える水界生態系を維持し、かつ経済活動やレクリエーション活動を守るために、米国の水域を保護して元の状態に戻すことである。
  • この報告書は、国家水プログラム(NWP:National Water Program)の大要と指針を示し、EPAが気候変動に直面しながら現在の水資源問題に対処するときに取り組む対策と課題について説明している。NWPは、水質浄化法(CWA)、安全飲料水法(SDWA)などの法律を執行するための連邦、州、地方、および部族政府の共同作業である。NWPに関与するほかの連邦機関には、商務省、内務省、農務省がある。
  • この報告書では、EPAに指示が与えられているが、拘束力のある義務、規則あるいは政策については何も定められていない。
  • このNWP戦略は、極端な気候事象やそれ以外の気候変動の影響に対して、これまで以上に理解し、備え、対処する米国の能力の拡充と強化という点における連邦政府の進展具合を概説した、2011年10月の「省庁間気候変動適応タスクフォース(Interagency Climate Change Adaptation Task Force)」の所見を反映したものである。
  • この戦略のなかの5つの長期ビジョンは、深まりつつある気候変動に関する理解に基づいた、EPAの気候変動と水の問題に対する今後の取り組みを具体化することを目的としている。これらのビジョンの分野のそれぞれで、さまざまな長期目標とそれらを達成するためにこれから数年のうちに取る必要のある戦略的対策が特定されている。
  • これらのビジョンはそれぞれ、EPAの水局がプログラムを通じてすでに実施している多くの戦略的対策と関連している。その主なものは次のとおりである。
  1. 気候変動対応河口
  2. 気候変動対応水道施設
  3. グリーンインフラ
  4. 「健全流域イニシアチブ(Healthy Watersheds Initiative)」
  5. 持続可能なインフラ
  6. WaterSense(EPAが水使用効率の良いトイレや蛇口などを認証するプログラム)
  7. 適応に関する決定を知らせるための情報と手段の研究開発

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