米EPA、全大腸菌群規則を改正

米国環境保護庁(EPA)は2012年12月20日、全大腸菌群規則(TCR:Total Coliform Rule)を改正した。この規則は、公衆衛生向上のために大腸菌(E. coli)濃度の上限値を設けるなど、飲料水中の病原菌について規定している。

TCR の今回の改正は、米国の3億1000万人余りの国民に飲料水を供給しているおよそ15万5000の公共上水道事業体のすべてに、E. coliなどの病原菌への曝露の防止策をより確実に講じさせるためにおこなわれた。E. coliなどの病原菌は、急性腹部不快感や、もっと極端な場合は腎不全や肝炎といった症状をともなうさまざまな病気の原因になることがある。

改正TCRのおもな内容

改 正TCRのもとでは、飲料水中のE. coliが最大許容濃度(MCL)を上回ることが試験で判明した公共上水道事業体はそのことを公表しなければならない。また、E. coliなどの飲料水汚染を示す値が一定レベル以上になった上水道施設は、システムの評価を実施して、汚染源や汚染経路となっている疑いのある箇所を補修 しなければならない。過去に基準を超える汚染のあった上水道事業体――ハイリスク事業体――は、水質モニタリングの頻度を一般の事業体より高めることが要 求される。いっぽう、水質とシステムの性能に関して一定の水準をコンスタントにクリアしている小規模上水道事業体には、優遇措置が講じられている。

公共上水道事業体、およびそれらを監督する州その他の地方政府機関は、2016年4月1日以降、改正TCRにしたがわなければならない。それまでは、公共上水道事業体および主管官庁はこれまでに引き続いて1989年のTCRにしたがわなければならない。

改正の経緯

安全飲料水法はEPAに対して、TCRなどの飲料水基準をすくなくとも6年ごとに見直すことを義務づけている。1989年のTCRを見直した結果、EPA は、この規則の実施にともなう負担を減らすとともに効果を増大させ、同時にまた上水道システムを汚染する病原菌に対する公衆衛生上の防護を強化する余地が あると判断した。今回の改正TCRには、広範なステークホルダーらから成る連邦諮問委員会の勧告内容が盛り込まれており、また、2010年秋に実施された パブリック・コメントで一般から寄せられた意見も反映されている。

改正TCRについて詳しくは下記のEPAのウェブサイトを参照されたい。
http://water.epa.gov/lawsregs/rulesregs/sdwa/tcr/regulation.cfm

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