中国環境保護部が「環境保全サービス業におけるモデル実施方案」(以下、「方案」)を2012年11月20日付けで公布した。同「方案」では、環境保全サービス業の定義を「環境保全サービス製品を生産、供給し、生態環境保護に物理的な基礎(ハード、経済面)と技術的保障を提供する産業である」と定め、実施目標、重点分野、主体となる事業者、実施手順が明確化された。その詳細は以下の通りである。
実施目標
- モデル地域(団地)における環境保全サービス業に対する認識を高め、環境保全サービス業を促進するための方式、ルートの模索を大きく進展させる。
- モデル地域(団地)における環境保全施設建設及び運営の専業化、普及レベルを大幅に向上させ、複数の新しい環境保全サービス方式を構築する。
- モデル地域(団地)において、都市生活排水、ごみ処理、火力発電所の排煙脱硫、脱硝などの環境保全施設運営を専業化し、大幅にサービスを普及させる。
- モデル地域(団地)において、環境保全サービス業に関わる金融、課税、価格など、関連する体制メカニズムや政策措置を更に健全化し、環境保全サービス業の発展環境を大幅に改善する。
重点分野
環境質改善と修復、汚染対策、コンサルティング、研修及び評価、環境認証や適合性認定、環境監視及び汚染検査、環境投融資、そして保険などが含まれる。
主体となる事業者
- 地級市(省クラスの行政単位と県クラスの行政単位の中間にある地区クラスの行政単位)の市政府。
- 省クラス以上の工業団地(中央政府・省政府によって認定、管理される工業団地)管理部門
- 独立法人で、関連業務を遂行する能力を有する国内有力環境保全企業(サービス提供側としての役割)。
実施手順
モデル事業の実施を希望し、かつ実施主体としての関連要求を満たす事業者が、所在地の省クラス政府の環境保全部門を通じ、申請書と実施方案を環境保護部に提出する。環境保護部の審査を通過した後、同地域におけるモデル事業の実施が許可される。モデル事業の実施時間は原則として2~3年である。
【関連URL】
<環境保護部:「環境保全サービス業モデル取組み方案の公布に関する通達>
http://www.zhb.gov.cn/gkml/hbb/bgt/201211/t20121126_242675.htm
同「方案」が公布されたことにより、中国政府が環境保全サービス業の専業化、市場化を積極的に促進する意向が鮮明になった。
また、環境保護部が2012年2月に公表した「環境サービス業“十二五”発展計画」意見募集稿(ドラフト)では、“十二五”期間中に中国環境サービス分野における総生産額を5000億元規模に成長させるという目標を掲げている。同計画案では、「汚染対策施設における市場化、専業化運営サービスを優先的に発展させる」という方向性が明確化され、それは、今回の「方案」の主旨と一致している。同計画案は、まだ修訂段階であるが、近いうちに正式に公表される見通しである。
「方案」の発表は、実力のある総合環境保全関連業者にとって、更なる市場拡大が見込まれる発展分野である。