南アでカーボン・ナノチューブ利用の油水分離膜を開発

南アフリカの研究者らが、カーボン・ナノチューブを利用した油水分離膜を開発した。この膜は、石油・ガス採掘現場で発生する油分を含む廃水の処理などに使うことができる。

この開発の成果は、A carbon nanotube-infused polysulfone membrane with polyvinyl alcohol layer for treating oil-containing waste water(油分を含む廃水を処理するためのポリビニルアルコール層付カーボン・ナノチューブ注入ポリスルホン膜)というタイトルの論文として、Nature Publishing Groupが発行する学術誌Scientific Reports上で2013年3月22日に公表された。この膜を開発したのは、ヨハネスブルグのウィットウォータースランド大学化学・冶金工学科の研究者らを中心としたチームである。

従来の膜の問題点

油田、石油化学工場、冶金工場、製薬工場など、さまざまな産業施設で、油水エマルションのかたちで大量の廃水が発生する。その油分濃度は1リットルあたり50~1000 mgであるが、それを1リットルあたり10~15 mgまで落とさなければ外部に排出することができない。
このため、廃水から油分を分離するのに、精密濾過(MF)、限外濾過(UF)、ナノ濾過(NF)、逆浸透(RO)などの膜濾過が使われている。この方法は、他の処理技術と比べて高水質の水を得ることができ、モジュール設計も単純で、使用する化学薬品の量も少なくて済み、しかもエネルギー消費が少ないという利点がある。しかし、この膜濾過にも難点がないわけではない。ファウリングや濃度分極といった問題を抱えているのである。

カーボン・ナノチューブ注入で高強度かつ高性能の膜を実現

研究チームは、バリア層としてポリビニルアルコール層の付いたカーボン・ナノチューブ(CNT)とポリマーの複合膜を作成し、それを使って水から油分を分離する試験をおこなった。ポリマー中のCNTの濃度が7.5%の場合、CNT不使用の膜と比べて極限引張強さが119%、ヤング率が77%、靭性が258%増加し、この膜が実用に適していることがわかった。
膜を透過した水の油分濃度は受容限度の1リットルあたり10 mgを下回っており、膜の処理能力も高く、95%を超える油阻止率を実現している。また、実際の用途に応じて、膜中のCNT濃度や圧力を変えることにより、阻止率や流量などのあいだのバランスを調整することもできる。

タグ「, 」の記事:

2019年12月11日
Suez、ハンガリーのオロスラーニにあるUF膜グローバル製造拠点を拡張
2019年12月11日
金属有機構造体で淡水化用高性能膜を実現へ
2019年6月17日
「ホットスポット」への集中照射で太陽光淡水化の効率を50%改善――ライス大学
2019年1月17日
細菌を使って細菌を殺す濾過膜をつくる技術――セントルイス・ワシントン大が開発
2018年11月8日
液体を使って液体を濾過する技術――ハーバード大が開発