インドで2番目に多い、人口1億人を超えるマハーラーシュトラ州で現在、水の再利用および雨水の収集などを企業に対して義務付けることが検討されている。Tata Motors、Reliance Industries、Bharat Petroleum、Hindustan Petroleumなどの複数の多国籍企業がある同州では、州の3分の1の地域が深刻な干ばつによる被害に遭ってきている。これを受けて、企業側が移転に動き出すという事態になった。そのため、現在マハーラーシュトラ州は、節水などに関するイニシアティブについて規定したガイドラインを企業に対して公表している。
しかし、同州の産業インフラ関連当局が運営するマハーラーシュトラ産業開発公社(MIDC)のBhushan Gagrani CEOは、干ばつの深刻具合によっては、節水などの行動を義務付ける必要があると強調している。Gagrani氏によると、この問題に関する指針がMIDCからまもなく公表される予定であるという。
世界資源研究所(WRI)のレポートでは、将来のインドにおいて約80%の発電所が、水へのアクセスが難しい地域に立地すると予測されている。このことから、水不足が原因で電力供給が停止するのではと考えられている。それが原因となり、水の割り当てに関する決定が非常に難しい問題になることが予想されている。
マハーラーシュトラ州での企業の節水事例
マハーラーシュトラ州にある各企業では、成功の度合いは様々だが、さまざまな節水のための方策が定められてきた。例えば、Bajaj Autoは塗装部門において新技術を導入することで、取水量を約半分にすることに成功した。また、2012年7月には、水の使用量を最大で35%も削減することができる、飲料製造過程における水の回収システムを開発したとコカ・コーラ社が発表している。このシステムはインドおよびメキシコの工場で試験運転されたものである。同システムでは、水処理や排水というよりはむしろ、定置洗浄やボトル洗浄などの工程において水を再利用している。
しかし一方で、マラスワダ工業・農業評議会(CMIA:Chamber of Marathwada Industries and Agriculture)の話では、タンカーが輸送してくる水を買っている企業もあるという。こういった水は、MIDCが供給している水の価格の10倍以上にもなる。