米国ではEPAが2003年に公表した「水質取引政策」および2004年に公表した「水質取引の評価ハンドブック」にもとづき、すでにいくつかの州で水質取引が導入されている。この水質取引について、その法的根拠などを問う公聴会を上院環境・公共事業委員会の小委員会が開催した。
EPA上下水道・水環境局副局長の議会証言
米環境保護庁(EPA)上下水道・水環境局のMichael Shapiro副局長は2013年5月22日、上院環境・公共事業委員会の水・野生生物小委員会が開催した公聴会で証言し、水質取引について、これは水質浄化法と「まったく矛盾しない」としてこの制度を擁護した。
同副局長はまた、EPAの水質取引の政策は富栄養化物質をターゲットにしたもので、この富栄養化物質が「きれいな水への大きな脅威になっている」とし、次のように述べた。「各州のこれまでの調査で、富栄養化物質に汚染されて州の水質基準を満たさない水域が全米に1万5000以上あることがわかっている」
水質浄化法にもとづく権限は明らか
水・野生生物小委員会のBenjamin Cardin委員長(民主党、メリーランド州選出)が、水質取引を実施する権限が水質浄化法にもとづくものであることは明らかかと質問したのに対し、Shapiro副局長は、「われわれはこれが水質浄化法による権限と矛盾しないと考えている。……水質浄化法とはまったく矛盾しない」と答えた。
同じく証言に立ったBarnes & Thornburg法律事務所のSusan Bodineは、Shapirio副局長の発言に賛意を示し、水質浄化法には水質取引の根拠となる条文が以下に示すように3つあることを指摘した。
- Section 103(a):水質汚染の防止や低減のための州の協調的な活動を促すことなどをEPAに義務づけている。
- Section 103(b):複数の州で共有する水路の汚染を低減するために、それら州が協定を結ぶことができるとしている。
- Section 117(g):チェサピーク湾プログラムに関して、取引の根拠をあたえている。