メキシコ工業会議所連合会、水道事業でのPPPの推進を求める声明を発表

メキシコ工業会議所連合会(CONCAMIN)は、2013年7月25日、水道事業における官民連携(PPP)の促進に向けた政策展開を求める声明を発表した。CONCAMINの水・環境委員会のEduardo Jesús Viesca de la Garza代表はこの声明文の中で、水道セクターにおける行政による事業独占が、水道サービス改善の妨げ及び市民に対する配慮不足といったことの原因となっていると説明している。「国内の水道ユーティリティは事実上破たんしており、従業員への給料の支払いや、ポンプを稼働させるための電気代、場合によっては塩素消毒費用でさえも辛うじて賄えているという状態である。そのため、水道分野の制度再構築を検討するための政策展開が急務である」と同氏は強調している。

企業の重役、各州知事、各自治体の代表者、国会議員などに提示するために、水道ユーティリティの近代化およびそれらの効率化を目的としたプロジェクトの準備が現在進められている。環境保護と経済性の両立を維持しながらも、各ユーティリティがより競争力を持ちつつ、同時に持続的な発展を促していくことを目指すそのプロジェクトでは、市民への水道サービスの改善を目標として掲げている。

Viesca de la Garza氏によると、国家レベルでの上下水道ユーティリティの近代化を目指した動きで一番最近のものは、1991年まで遡るという。この時には、当該分野の専門家らが、全ての行政レベルでの包括的な水資源管理に取り組もうとしていた。

漏水に加え、市民の意識向上なども課題

国内の水道水の多くが衛生基準を満たしていないことも問題であるが、大量(全体の30~50%)の漏水が特に大きな課題となっている。CONCAMINの発表によると、国内最大の都市であり首都でもあるメキシコシティでさえ、漏水率は30~40%にも達するという。水道管理の改善および行政による運営からの脱却のためにも、上水道システムの分散化を行うべきであるとCONCAMINの関係者は主張している。一方下水道網に関しては、統計データすらないのが現状である。

また水道システムの近代化の推進に加え、CONCAMINは、水の再利用、水道サービスへの料金支払いに対する市民の意識向上、関連規制の遵守、そして水道事業のガバナンスのための明快な規制の策定などについても推進している。

EnviXコメントメキシコ国家水委員会(Conagua)によると、国内の水道ユーティリティの約80%が資金不足に悩まされているという。その原因は主に「市民による水道料金の未払い」と「給水コストを反映していない不適切な水道料金の設定」の2つであると指摘されている。一方で、民間が運営する事業体は公共のそれよりも効率が良く、国内で最も上手く運営されている事業体の上位3つは民間が占めている(それぞれ、サルティーヨ、カンクン、アグアスカリエンティスにて運営している)。この理由として、良く練られた運営計画の策定、長期的な視点を持ったプロジェクトの実施、サービスの改善、この3点をConaguaは挙げている。

水道事業のPPPに関してはこれまでにも世界各地で実施され、成功する事例だけでなく失敗する事例も見られた。過去の事例を見る限りでは、民間企業が参入する場合、いかに料金徴収率を上げるかが事業継続の一因となっているように思われる。これは、安定的に収入が得られなければ、民間企業としての事業が成り立たないからである。それを実現するためにも、給水時間の拡大、接続戸数の増加などといった水道サービスの改善がまずは必要である。上でも述べているように、効率的な運営やサービス改善といったことが、民間企業に求められていることである。

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