スエズ子会社のユナイテッド・ウォーター、米国ベイヨンにおける新たなビジネスモデルの成功を発表

Suez Environmentは、2013年10月 30日、同社の子会社であるUnited Waterが、米国クリントン財団(*1)およびクリントン・グローバル・イニシアチブ(CGI)(*2)と提携し、米国で水資源をより良く管理するための革新的なソリーションの提供に取り組んでいることを発表した。これは上下水道システムの近代化を目指す官民パートナーシップ(PPP)の下で構築された新たなビジネスモデルを通じて具現化されてきたものである。Suezは発表の中で、このビジネスモデルは米国ニュージャージー州ベイヨン市でうまく活用されているとしている(*3)

負債にあえぐ米国の自治体にソリーションを提供

米国では、水インフラのかなりの割合がすでに老朽化しており、市民に高品質の飲用水を提供するためには、全面的なオーバーホール(分解・総点検)とまではいかないにせよ、インフラを改修する必要に迫られている。しかし、米国では複数の自治体が金融危機に起因する負債を抱え、こうしたプロジェクトに資金を投じることができない状況にある。
こうした事態を受け、United Waterでは、クリントン財団およびCGIとの間の約束の一部として、こうした分野に長期的な民間投資を集めるため取り組んできた。CGIの年次総会でこのビジネスモデルが発表されてから1年後、ユナイテッド・ウォーターはこの新規なビジネスモデルがニュージャージー州ベイヨンでうまく機能していると発表した。

5年間で2000万ドルを拠出

事実、ベイヨンでの事業では、今後5年間で2000万USドル(約20億3000万円)が投資され、さらにそのうちの半額は最初の2年間に投じられる予定であるという。この資金は、ベイヨンにおける上下水道システムの管理に関する40年間、総額1億3000万USドル(約132億円)のコンセッション契約を受託した合弁会社から拠出されることとなる。この合弁会社は、10%をUnited Waterが所有し、残る90% を米インフラファンド大手のコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)(*4)が出資して設立されたものである。ベイヨンでは現在、家庭や企業にはスマート水道メーターが導入された他、ベイヨン水道局(BMUA)の職員に対しては効率的な運用とメーターの適切な利用を確保するための研修と新たな機器が提供されたという。またさらにUnited Waterはこの5年間の中で、インフラをオーバーホールするため、保有する設備に10億USドル(約1014億円)を投資し、水サービスと品質を向上させることを計画しているという。

Suezは、この米国におけるユニークなイニシアティブにより、各自治体は負債を減らし、財政状態を建て直す一方で、インフラの性能を向上させることができたと評している。同社で国際事業のDeputy Chief Officerを務めるMarie-Ange Debon氏は次のように語った。「我々はこれまでに遂げてきた前進を誇りに思っています。この新しいモデルを活用することで、ベイヨンの他、技術面や予算面で同様の制約を抱える米国の自治体を大いに力づけることができるでしょう。今回の事例によって、長期的な資金調達と広く認められている専門的知見を結びつける、信頼性の高い革新的なソリーションを提供することが可能であることが実証されました」

*1 米国のクリントン前大統領が大統領を退任した後に設立した財団。政府、企業、NGOの間のパートナーシップを促進し、地球規模での健康増進、経済の強化、健全な子どもの生育の促進、環境を守ることを使命とする。*2 政府と民間、NGOの指導者を一堂に集め、地球上の問題の解決策を話し合い、行動に移すフォーラム。*3 EWBJ47号に関連情報有り「特集:米国の自治体における民間資金を活用した新たな資金調達手法の潮流*4 米国ニューヨークシティに本社を置くプライベート・エクイティファンドで世界的に最も規模の大きいファンドのひとつ。

タグ「, , 」の記事:

2020年7月9日
米カリフォルニア州政府、飲料水中のマイクロプラスチックの定義を発表
2020年7月9日
米EPA、飲料水中の過塩素酸塩を規制しない方針を最終決定
2020年5月9日
米カリフォルニア州政府、飲料水中の六価クロムの新汚染基準策定に向けたワークショップを開催
2020年3月24日
米EPA、飲料水中のPFOAとPFOSの規制を予備決定
2020年2月23日
米州水規制規制機関協会ADERASA、上下水法規に関する第12回イベロアメリカ・フォーラム開催