GE Power & Waterは、南アフリカのエネルギー・化学企業、Sasolと共同で、廃水処理の副産物として発電用のバイオガスを生産する技術を開発した。
嫌気性膜バイオリアクター(AnMBR)と呼ばれるこの水処理技術は、南アフリカのサソルバーグのSasol OneというサイトにあるSasolの研究開発センターに新設された実証プラントで、さらに開発が進められることになっている。
GEとSasolの提携には、GEのエコマジネーション認定製品であるZeeWeed 500膜と何十年にもわたる膜バイオリアクターの実績、それにSasolのフィッシャー・トロプシュ(FT)法の工程から出る廃液の生物学的処理の実績とを、ともに活かしていこうという狙いがある。
両社は、廃水処理過程からバイオガスを生産する技術の商業化は、2015年はじめに実現すると見ている。Sasolはこの技術をFTベースのプラントに応用する独占権を、GEはこの技術を他の産業目的に利用する権利を得ることになる。
AnMBRの特徴
AnMBRは、湖、ダム、海洋の底の沈殿層など、酸素のない環境で生きることのできる嫌気性微生物を利用する。こうした微生物はほとんどどこにでもあり、ちょっと数え上げただけでも、ヒトの消化器系のなかや、地表下、砂漠、および高山でみつけることができる。
Sasolは現在、カタールのORYX GTLのプラント、および南アフリカのセツンダのSynfuelsプラントで、ガス液化(GTL)および石炭液化(CTL)過程から出る廃液を、好気性微生物を使って処理している。
FT法による液体炭化水素合成では、副産物のひとつとして、有機酸およびアルコール分の豊富な廃液が得られる。従来の(好気性の)処理技術では、これらの有機物を二酸化炭素に変換することによってこの廃液を処理している。
AnMBRのすぐれた点は、嫌気性微生物がこれら有機物をメタンの豊富なバイオガスに変換することにある。このバイオガスは発電に利用することができ、その結果として、GTLプロセスのエネルギー効率が全体として向上するとともに、廃液を価値のある製品(電力)に変換することで、GTLのバリュー・プロポジションが増す。
AnMBRがすぐれているもうひとつの点は、廃棄されるバイオソリッドの量が従来の方法よりもおよそ80%すくなくなることである。
SasolがGTLプロセスからの廃液の処理をまず手がけたのは、カタールのRas Laffanにあるプラントにおいてである。そこでは、処理した廃液はRas Laffan市で灌漑用水として再利用されている。同社は現在、第2世代の技術として、アメリカのGTL施設用の廃液処理設備を設計しているところだが、これには好気性膜バイオリアクター(MBR)が使われることになっている。
2013年10月末にNew York TimesがDealbookに掲載した記事によると、産業廃水処理に注目する投資家の数はますます増えてきているという。