タイ、水資源管理の一元化に向けて2013年末までに法案提出を予定――骨子となる10の項目を公開

2013年7月17日に国際的な自然保護機関の「国際自然保護連合(IUCN)」が発表したところによると、タイでは2013年1月以降、現在20以上の省庁が個別に行っている水資源管理を一元化する法案の策定が進んでいるが、この法案が一般の参加を得た公聴会などを経てまとめられ、2013年末に提出される見込みだという。

水資源を州の所有物から市民のものへ

この法案の策定作業は、タイ法改正委員会(Law Reform Commission of Thailand)が環境と天然資源の保護に関するNGOの集合体やアジア財団、IUCNが運営する“Mekong Water Dialogues(メコン川流域各国の意思決定等に関する透明性を確保し、人と生態系の健康を保全する活動)”と共同で進めており、その作業には一般の参加を得た公聴会などのプロセスが取り入れられているという。

水資源開発法に関する小委員会のメンバーであり、IUCNタイ委員会のシニアプログラムオフィサーのTawatchai Rattanasorn氏は次のように語った。「政府ではいずれの局も、水の共有や水資源の一元的管理に関する調査研究を行っていません。現在、タイにおいて水資源は縦割り行政により管理されており、また意思決定プロセスは一般公衆の参加を得たものとなっていません。水資源は現在、国の所有物とされているのです。しかし、水は公共の資産であり、人々は水にアクセスする権利を保障されることを求めています」

 

法案の具体的な内容と法案提出までの流れ

今回の法案には、主なものとして以下の10項目が盛り込まれた内容となっている。

  1. 水資源を使用する権利: 水資源とはすべての人に属するものであり、またすべての人は他人に被害をおよぼさない限り、生きるために必要な水を得る権利を有する。
  2. 水資源を管理する組織・機関に求められる要件: 当該機関は、国内の河川流域単位ごとに存在しなくてはならない。加えて、第二次流域単位で、この流域単位の管理機関と地方政府とを連携させるための機関を設立する必要がある。
  3. 水の配分:政府は農業、工業、小規模な農作などすべての分野に充分な水を確保する必要がある。
  4. 水に関する危機的状況の防止:水に関する危機的な状況を未然に防止するために特別委員会あるいはタスクフォースを設置する必要がある。
  5. 水資源開発・保存の方策: 水資源のための生態系を保護し、修復する必要がある。
  6. 公共の水資源の管理および検査の実施
  7. 法的責任: 水を汚染した者は処罰の対象となる。
  8. 水資源基金:水資源の資金の管理は、提案されている「国家水資源委員会」が行うものとする。
  9. 水資源を悪用する者への刑事罰:水に有害な廃液を投じる者など
  10. 附属文書: 天然資源・環境省が検討を要する項目が含まれる予定である。

最後の公聴会は、タイ国内の様々な地域から市民を招待し、9月6日にバンコクで開催される。この後、水資源法の最終案が提示されるとともに、成立に向けた嘆願書に1万人の支持者の署名が求められる予定である。その後、この署名と最終法案は2013年末までにともに正式に議会に提出される見込みとなっている。

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