Veolia、規制強化の中で鉱業分野での水処理事業の成長を目指す――2020年までに鉱業分野で売上21億ドルを目標に

2014年4月8日に報じられたところによると、欧州最大の水事業者Veolia Environment は、水不足と環境規則の強化を背景に、鉱業分野での売上を見込んでおり、2020年までに21億ドル(約2150億円)と2013年から倍増させることを目指しているという。Veolia社ではこの収益の増加が、資源採掘産業からの廃水・廃棄物の処理を義務づける命令や現場でのエネルギー効率向上を促す命令によりもたらされると見込んでいる。

規制強化が招来する水ビジネスのチャンス
VeoliaのCEO、Antoine Frerot氏は記者会見で「鉱業が盛んになればなるほど、鉱山が存在する地域では水が不足することとなります」と述べた。環境規則の厳格化がVeoliaのビジネスを創出する結果となっている。同CEOは、Veoliaの債務を削減するとともに、グローバルな事業の焦点を絞り込み、都市用水契約よりも利益率が高い民間との契約を獲得することを目指してきた。資産売却および運営面の改革を特徴とする改善計画に沿って2014年中に利益を増加させ、利益の道筋を確保することを目指している。

Veoliaの鉱業・金属担当グローバルマネージャーのChristopher Howell氏は記者会見で次のように述べた。「水の問題は、プロジェクトを中断させる、鍵となりえます。」鉱業関連企業はこれまでも、水の権利をめぐる先住民族からの高まるプレッシャーを受けてきている。実際、Barrick Gold社は、潜在的な水の汚染をめぐる紛争を原因として、アルゼンチンとチリの国境での85億ドル(約8700億円)規模のパスクア・ラマ金鉱採掘プロジェクトの建設を保留している。また、Newmont Mining社がペルーで進める50億ドル(約5120億円)規模のコンガ金プロジェクト水の問題で中断を余儀なくされている。

鉱業向けの水、廃棄物、エネルギーサービス市場は2020年には200億ユーロに
一方、Veoliaは2013年、世界最大の銅生産者であるコデルコ社(本社:チリ、サンティアゴ)から廃液処理施設の建設・運用の契約を獲得した。Veoliaは、鉱業分野から上がる収益が2013年の7億ユーロから2020年までに15億ユーロ(約2120億円)増加するとの予測を明らかにしている。また同社の予測では、鉱業産業全体の売上7000億ユーロ(約99兆円)に対し、鉱業向け水、廃棄物、エネルギーサービスの市場は現在の140億ユーロ(約1兆9800億円)から2020年までに200億ユーロ(約2兆8300億円)に達するという。

Veoliaによれば、同社はリオ・ティント(*1)、ヴァーレ社(*2)、Anglo-American(*3)などの鉱業大手を顧客にもつという。VeoliaのCEO、Antoine Frerot氏が鉱業分野での契約を追究するとの方針を打ち出したのは、過去に発表した原子力施設解体、有害廃棄物の清掃、シェールガス採掘水の処理、および食品加工産業向けサービスを拡張するとの計画表に続くものとなる。

*1 英国を拠点とする多国籍鉱業・資源グループ。BHPビリトン、Anglo Americanと並んで資源3大メジャーと呼ばれる。2013年総売上約100億ドル(約1兆円)。*2 ブラジル、リオデジャネイロに本社を置く総合資源開発企業。鉄鉱石世界最大手である。2013年調整後EBITAは約226億ドル(約2.3兆円)*3 英国に本社を置く世界最大の鉱山会社の一つ。2013年営業利益は約66億ドル(6760億円)、リオ・ティントとともに資源3大メジャー。

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