EUの水質汚染物質の監視リストに亜鉛とシアン化物を追加か、欧州委員会の素案

水質汚染物質のうち、将来的に優先物質に指定する必要を判断すべくEU全域でデータ収集を行うべき物質を示す“監視リスト(watch list)”に、亜鉛と遊離シアン化物が加えられる可能性が浮上した。欧州委員会の環境総局が2014年3月中旬にEU諸国と関係者に示した素案で、既にリスト入りが決まった3種類の薬剤(ジクロフェナクとE2とEE2)と共に、これら2物質が“前回のレビュー後に如何なるデータが収集されたかにもよる”との条件付きでリストに入っているのである。新たに優先物質に指定された物質については、地表水中の許容濃度上限が環境水質基準(EQS)で定められる。

監視リストの作成は、水質枠組み指令(2000/60/EC)と地表水の水質基準に関する指令(2008/105/EC)を改定する指令(2013/39/EU)により決定された。この指令は優先物質について規定するもので(2013年8月に成立、下記URLで閲覧可能)、欧州委員会に最初の監視リスト(最大10物質まで)を2014年9月14日までに作るよう求めている。リストは2年毎に更新し、一度の更新につき1物質ずつ増やして最大14物質まで一度に列挙することが認められる。欧州委員会の内部手続きによると、最初のリストの内部合意案が2014年5月に、最終案が7月にまとめられ、8~9月に採択されるはずである。EU各国は原則的にリスト掲載物質のモニタリング結果を初掲載から21カ月以内に、それ以降は掲載が続く限り12カ月ごとに欧州委員会に報告しなければならない。

http://eur-lex.europa.eu/LexUriServ/LexUriServ.do?uri=OJ:L:2013:226:0001:0017:EN:PDF

一方、環境総局は今回の素案で、リストに物質を加えたり外したりする際の基準も提示している。加える際の基準としては“水環境自体またはそれを通じて人体に著しいリスクを生じさせるかもしれない物質であること”、“有害性と人や環境が晒されるリスクに関して信頼し得る証拠があること”、“その潜在リスクが優先物質への指定ならびにEQSを要するほどかを判断するためのモニタリングデータが不十分であること”などがある。このほか、他のEU法で禁止される物質はリストに入れないが、輸入製品などを通じて排出が予期される物質および残留性・体内蓄積性・毒性(PBT)物質や非常に残留性や体内蓄積性が高い(vPvB)物質はリストに入れるべきとしている。一方、リストから外す際の基準としては“著しいリスクが特定される見通しがモニタリングデータで示されないこと”や“他の物質を入れるために枠を至急空ける必要がある場合”などを示している。

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