米ワシントンDC水道局、Veolia Waterとの官民協力で年間最大1200万ドルを節約へ

コロンビア特別区上下水道局(ワシントンDC水道局)は、環境サービス・技術のプロバイダーとして知られるVeolia Waterの協力のもとに、同水道局の水の供給源であるワシントン水道の運営方法などの改善を計画している。ワシントン水道は、連邦政府の直轄による公共水道向けの水卸売機関で、ワシントンDC水道局のほかに、アーリントン郡水道局とフェアファックス郡水道局にも水を供給している。ワシントン水道の運営、保守、および設備改善の資金は、水道用水をこれら3水道局に売却した利益でまかなわれている。

コンサルタント型パートナーシップ

Veoliaは過去4ヵ月間の官民パートナーシップ試行期間を通じて、ワシントン水道の運営上の問題点をつぶさに調べ、効率改善、コスト節減、運営の合理化、および信頼性の高い継続的な水供給の確保のための25項目の改善策を提案した。Veoliaがピア・パフォーマンス・ソリューション(PPS)モデル――公営ユーティリティの雇用と官による経営を維持しつつ民間部門の専門知識・技術を注入するコンサルタント型パートナーシップ・プログラム――の一環としておこなった評価では、日常の運営コストと長期的な設備計画・工事費用を合わせて年間800万ドル(約8億円)ないし1200万ドル(約12億円)のコスト節減が可能との結論が得られた。

パートナーシップにおけるVeoliaの役割

Veoliaの専門技術チームは向こう18ヵ月間、ワシントン水道のスタッフと協力して、同水道のコスト節減目標の達成に向けた改善策の実施を主導していくことになっている。この専門技術チームは、ワシントン水道全体の運営に欠くことのできないインフラを保護するためのインフラ管理戦略を策定・実施するとともに、プログラムの目標を期限内に確実に達成できるようにするため、パフォーマンス管理システムを使って主要なパフォーマンス指標を定期的にモニター・追跡する。

こうして得られた主要インフラのデータと保守履歴を設備計画プロセスに反映させ、設備改善の20年計画に盛り込むべき最適な設備投資プロジェクトの決定に役立てる。Veoliaが提案したこのほかの改善策としては、浄水と残渣処理の運転最適化、より総合的な安全・研修プログラムの策定と実施、組織内コミュニケーションおよび外部とのコミュニケーションの改善などがある。Veoliaは、18ヵ月のパートナーシップ・プログラム実施期間を通じて、ワシントン水道のスタッフを支援していく。

この新しいPPSモデルは、ニューヨーク市、ピッツバーグ市、およびジョージア州ディカーブ郡においても実施されており、それぞれ成果をあげつつある*1

*1 EWBJ47号に関連記事有り「ピッツバーグ上下水道公社、Veoliaとの契約を延長
EWBJ44号に関連記事有り「北米での水道事業アドバイザリー・サービスの展開

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