2014年9月4日に現地で報じられたところによると、マレーシア、エネルギー・グリーンテクノロジー・水資源省(KeTTHA)は現在、無収水(NRW:Non-Revenue Water)の量を減らし、これに伴う収益の損失を削減することを目的とした新しい政策を準備しているという。KeTTHAのDatuk Seri Mahdzir Khalid副大臣によれば、この政策は現在内閣に提出する前の最終段階にあるという。
一般的な先進国では10%台の無収水がマレーシアでは35%~36%
Mahdzir副大臣は、マレーシアの水道事業者が抱える大きな課題に、水道管網から多くの水が失われていることがあると指摘する。先進各国の典型的な値で言えば、NRWの割合は10%~20%である。しかしマレーシアでは、NRWは国内全体で平均して35%~36%にも上っている。なお各州のNRWは下図の通りで、同国最北端のプルリス州で最も高く60%を超えている。マレーシアのNRW問題を引き起こす理由の一つに、現在も同国のすべての州で使用されているアスベストセメント製の水道管(ACパイプ)が挙げられている。「ACパイプは古く、腐食しておりこれが漏水を引き起こしているのです。また、違法な取水も水の損失を招いています」とMahdzir副大臣は語る。
図 マレーシアの各州の造水量に対する無収水の割合(%)
長きにわたりNRWに起因する減収に有効な対策なし
NRWが水道事業者にとっての大きな問題であることは以前から明らかにされており、さらにNRWは水道事業者に金銭的な損失も生んできた。しかし、こうした問題に対してこれまで、全国レベルで有効な対策はとられなかった。「いくつかの水道管轄当局は、製造したバルク水のうちわずかに60%(あるいはそれ以下)から収益を得ている状況です。つまり、NRWによる減収に取り組むためには、より大きな取り組みが必要なのです」とMahdzir副大臣は語り、マレーシアにおけるNRWの管理の必要性について述べるとともに、これまでこの問題に対する取り組みが不十分であったことに対する不満を示した。
少ない成功事例 ペナン州ではNRWの割合を18%に低減
NRWの低減によりもたらされるメリットはよく認識されているにも関わらず、その改善は長年の間遅々として進んでいない。Mahdzir副大臣は併せて、NRWがマレーシア政府にとっても大きな懸念となってきたと述べる一方、効果的な配水サービスとNRWの削減は実現可能であると語った。実際に、数は少ないが、マレーシアの水道事業者の中にはNRWの低減に成功している例がある。例として、ペナン州ではこの数年間、NRWを18%未満に維持することができている。続くマラッカは22%であった。