スイス連邦議会、下水のマイクロ汚染除去対策を国主導で推進する法案を可決

スイス連邦議会は2014年6月、下水処理施設のマイクロ汚染除去対策を国主導で進める河川保全法改正法案を可決した。マイクロ汚染を低減化するための対策費用の75%を連邦に負担させる。スイス連邦政府は9月30日、改正法を2016年1月1日付けで施行する、と発表した(以下のリンクに、スイス連邦環境省のプレスリリース)。
http://www.uvek.admin.ch/dokumentation/00474/00492/index.html?lang=de&msg-id=54667

スイス連邦議会は、連邦政府の提案に従って、下水のマイクロ汚染を低減化するための浄化設備改修にかかる費用の75%を、連邦予算で賄う河川保全法改正法案を可決した。スイス全土で約100カ所のマイクロ汚染除去設備が今後、この方式にのっとって改修されることになる。対策費用の残りの25%は、下水に接続している住民から課徴金を徴収する。課徴金の最高限度は、住民1人あたり年9スイスフラン(約1,000円)に固定する。この制度の具体的な運用については、河川保全法の下位法令である河川保全令で詳細を定める。同令の案は2014年末にも公開協議に付される予定である。

スイスでいう「マイクロ汚染」とは、日常生活で使われる数多くの製品(医薬品、洗剤、ボディケア製品など)や、農薬、材料保護剤などに由来する水質汚濁をいう。都市の下水管や、さまざまな進入経路(雨水導水管、農地からの流出)を通じて、河川流域に運搬されている。「マイクロ汚染」は、きわめて高濃度(リットルあたり10億分の1グラムから100万分の1グラム)で河川に蓄積している有機トレーサーか、重金属からなる集合概念である。濃度がここまで高いと、水生生物に有害な影響を与える可能性があるだけでなく、飲料水源の水質も損なっているおそれがある、という。

そこでスイス政府は、改正河川保全法に基づき、処理下水のマイクロ汚染を徹底的かつ合理的な費用をもって除去することにした。そのため、全国約100カ所の下水浄化設備を改修する予定である。基本的に、次のようなケースを改修対象として予定している。

  • 下水処理場に接続している住民人口が8万人以上の下水浄化設備
  • 湖に面した流域の住民人口が2万4000人以上の下水浄化設備
  • 処理済みの下水の水路導入量が流域水量全体の1割以上を占める住民人口8,000人以上の下水浄化設備

生態系が繊細な区域や、飲料水の供給にとって重要な流域に下水浄化設備が存在するとき、州当局は、人口1,000人以上の下水浄化設備でも改修を申請できる。

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