メキシコの2013-2018年国家開発計画では、生産部門の民主化、身近で近代的な政府、男女平等な社会という3つの戦略と、1)民主政治の強化、2)社会生活整備、3)質の高い教育、4)経済成長、5)国際社会での責任遂行の5つの目標を掲げているが、その2013年9月から2014年8月までの年次実績報告が、大統領よりなされた。4番目の経済成長の目標の中では、グリーン経済推進の一貫として、水資源の持続可能な管理により全ての国民へ水資源を供給することが具体目標と挙げられているが、その現状と実績が以下のように報告されている。
良質の飲料水の供給
2013年度に、生産能力合計2674リットル/秒の43の新しい上水施設が稼動を始めた。また2014年上半期には、生産能力1700リットル/秒、供給流量1455リットル/秒の新しい上水施設が3ヶ所に建設された。これにより、2014年6月現在の上水施設は合計742、生産能力合計13万7809リットル/秒、供給流量9万4791リットル/秒となり、飲料水の消毒率は、1億人をカバーする98.2%に達した。また米国との国境地域での浄水プラント建設プロジェクトが米国のEPAと合同で進められており、2013年末には2億ペソの投資、2014年には3億ペソの投資が予定されている。
2013年9月から2014年6月までに、全国4836ヶ所の井戸や河川、湖沼、貯水池の水質検査が実施され、対2008年で微生物量は46.9%から37.6%に、生物分解性有機物量は12.5%から9.1%に減少していることが確認された。この理由は、都市排水の浄化が2008年の80m3/秒から2013年には99.8m3/秒に、工業排水の浄化が35m3/秒から60.5m3/秒に増加した為及び、排水の消毒率が向上して大腸菌が減った為、また降水量が増加した年があり汚染物質が希薄された為となっている。
水インフラ投資
2013年の水インフラへの投資額は381億ペソにのぼり、うち66%は上下水道設備、27.6%は農業用水インフラ、6.4%は洪水対策にあてらられた。2014年の投資は450億ペソとなる予定で、うち356億ペソは連邦予算から、64億ペソは地方政府予算から、30億ペソは上下水サービス料から拠出される。また2014年の投資のうち54.1%は上下水道設備、28.6%は農業用水インフラ、17.3%は洪水対策にあてられる。2014年1-6月には、前年同期比32.6%増の156億ペソの投資が、連邦予算で実施されている。
上下水普及率
2013年末までに、上水道普及率は、都市部で95.7%、農村部で80.8%、全国平均92.3%に達した。2014年末には、都市部で95.8%、農村部で81.7%、全国平均92.7%に達する事を目標としている。
下水道普及率は、2013年末までに都市部で96.4%、農村部で72.5%、全国平均90.9%に達し、2014年の目標は、都市部で96.4%、農村部で74%、全国平均91.4%となっている。
上下水インフラ
農村部の上下水道建設修復プログラム(PROSSAPYS)により、人口2500人以下の農村の上下水道サービス普及の為に、2013年には36億ペソが投資された。うち29億ペソは連邦予算で賄われている。2014年には、830の農村の32万人をカバーする635の上水設備と、174の農村の13万人をカバーする164の下水道が新たに建設される予定である。
都市部の上下水道プログラム(APAZU)では、2013年に連邦政府より57億ペソ、地方政府より24億ペソ、合計81億ペソが投資され、195の上水設備と206の下水道、48の排水溝が建設された。2014年には53億ペソ投資予定で、6月までには49億ペソが実施されている。
首都圏の上下水道プログラム(ZMVM)では、2014年6月までに、水質モニタリング及び、飲料水供給システムのメンテナンスと修復が実施された。また250kmの上水道が完成し、洪水回避の為の排水トンネルの建設が54.6%進捗している。
汚水処理プログラム(PROTAR)では、27億ペソの投資により、82の新しい汚水処理場が建設された他、12の処理場が拡張、25の処理場が修復された。2014年には、処理能力合計6442リットル/秒の17の都市部の下水処理プラントが、新たに建設される予定である。
報告書では上記の他、農業用水インフラ改善や、上下水道サービス会社の技術力・財務能力強化プログラム、法整備、洪水対策の為の活動が報告されている。
大統領の報告書は、以下のサイトで参照可能(西語表記)。
http://www.presidencia.gob.mx/segundoinforme/