2015年2月18日、サウジアラビアで開催された水貯留に関する3日間のカンファレンス・展示会「Water Arabia 2015」において、米国General Electric社(以下、GE社)が同国の水再利用をテーマとする白書“ADDRESSING WATER SCARCITY IN SAUDI ARABIA: POLICY OPTIONS FOR CONTINUED SUCCESS*1”を公開した。
水再利用の将来展望や技術オプション、成功事例の他、政策オプションを提示
GE社で政府関連事項をグローバルに率い、かつこの白書の共著書であるJon Freedman氏は、GE Power & Water社の水・プロセス技術のsenior manager を務めるColin Enssle氏とともに、カンファレンスの聴衆に同白書の概要を説明した。説明によると、同白書には、サウジアラビアにおける水再利用の将来展望、政策と規制、課題に対する幅広い技術オプション、およびバーレーンを含む市場における成功事例が含まれている。また併せて、水再利用に関して、「教育・広報」、「障壁の撤廃」、「インセンティブ」、および「義務化と規制」を含む4つの大きな政策オプションを政府に提示している。Freedman氏は次のように述べた。「我々の提言は最近発表された同国の水課題に関する国家戦略を補完するものです。処理廃水の再利用割合が全体で30~40%にも上るサウジアラビアでは、水の再利用が7倍の年間2億4100万m3に増える大きな可能性を秘めているのです。」
水の再利用は今後年率4%で増加、2035年には58億3400万m3/日に
同白書はサウジアラビアにおける最も大きな廃水再利用の分野を農業とし、これに造園、工業、およびレクリエーションが続くとしている。Global Water Intelligence(GWI)社の予測では、水の再利用は23億6700万m3/日から年間4%で増加し、2035年までには58億3400万m3/日に達するという。「GEの白書は、サウジアラビアが水の再利用を促すために既に進めている野心的なイニシアティブに光を当てるとともに、将来のサウジアラビアのニーズに最もよくフィットする政策の組み合わせを探す議論の出発点として、4つの政策オプションを議論しています」とFreedman氏は述べた。
サウジアラビア、大都市で2025年までに廃水の100%再利用を目指す
この他、このカンファレンス「Water Arabia 2015」では、サウジアラビア政府が2025年までに「人口5000人以上の都市では廃水の100%再利用を目指す」ことが発表された。同国はこの他、既存または計画中の廃水処理施設を給水施設に転換することで、2020年までに65%、2040年までに90%を超える水の再利用を目指すという。GWIの試算では、サウジアラビアの水再利用市場は世界で3番目に大きい43億USD(約5110億円)に上り、今後10年間で、同国の水・衛生プロジェクトには長期的設備投資として660億USD(約7兆8400億円)が投じられることがきまっている。