2014年12月10日チリの下院に、汚水処理プラントで処理された水を、農業や鉱物資源開発に優先して使用するための、衛生サービス一般法改正案 が提出された。1989年6月21日公布(2014年10月10日最終改定)の公共事業省の政令DFL 382「衛生サービス一般法」の第12条第6項を、以下のように改正することが提案されている。
現在の法文:
第12条:
上下水道サービスのコンセッション申請書には、最低以下の内容を含めること。
第6項:
下水処理の場合は、処理する下水や処理水の性状、処理水の排出先、処理方法。
改正案:
上記第6項に、以下を追加する。
「処理水を、農業用または鉱物資源開発用に提供することを優先すること。コンセッション申請書には、サービス会社と、受益団体または企業との間で締結される、処理水提供合意書を添付すること。」
チ リの下水サービスは、民間企業に特定地区のサービス運営権がコンセッションで与えられ、現在全国で、1150万人の住民をカバーする260の下水処理シス テムが稼動している。処理方法は、60%が活性汚泥法、20%が気汚水処理貯水池、12%が海底パイプライン、5%が一次処理と殺菌、3%が酸化安定池法 となっているが、処理水の大部分は海や河川、湖沼に排出され、灌漑用水路などの人口の貯水池に排出されているのは、ごく一部である。
現在都 市部の下水道普及率は83%に達して処理水の量も増加しており、特に北部の乾燥地での水資源の有効利用が重要な課題となっているため、農業の灌漑用水や鉱 物資源開発用水に飲料水を使うのではなく、下水処理水の使用を優先することが、法案の意図となっている。また処理水を農業用水や鉱物資源開発用水として使 用するためには、コンセッションが与えられる前に、灌漑用水であれば、灌漑用水路を管理する団体の許可を得る必要があり、この点も法案では考慮されてい る。
政令DFL 382改正案は、以下のサイトからダウンロード可能(スペイン語表記)。
http://www.camara.cl/sala/verComunicacion.aspx?comuid=13413&formato=pdf