インドネシアで、2014年10月25日、「排水質基準に関する環境大臣規則2014年第5号」(以下、本規則)が公布、施行された。本規則は、環境保護管理法2009年第32号の第20条に基づくもので各種産業分野における排水基準を規定しており、全18条48付属書から成る。なお、本規則の施行にともない、「産業排水基準に関する環境大臣令1995年第51号」をはじめとした計20の関連規則が無効となった。
本規則の原文は、以下のwebサイトの下部からダウンロード可能である。
http://lingkunganhidup.ketapangkab.go.id/index.php/public/info/detail/berita/129
規制対象となる産業分野
本規則で規制される産業分野は以下の通りである(第3条)。
- 金属メッキおよび亜鉛メッキ業
- 皮なめし業
- 椰子油製造業
- ゴム製造業
- タピオカ製造業
- グルタミン酸ナトリウム、イノシン酸製造業
- 合板製造業
- 乳製品加工業
- ソフトドリンク製造業;
- 石けん、洗剤、植物性油脂製品製造業
- ビール製造業
- 鉛蓄電池製造業
- 果物野菜加工業
- 漁業品加工業
- 海藻類加工業
- ココヤシ加工業
- 食肉加工業
- 大豆加工業
- 伝統医薬品またはジャムウ加工業
- 牛および豚畜産業
- 湿式/乾式食用油製造業
- 製糖業
- 煙草および葉巻製造業
- 電子産業
- コーヒー加工業
- 精製砂糖製造業
- 上流の石油化学工業
- レーヨン製造業
- 陶器製造業
- テレフタル酸製造業
- ポリエチレンテレフタレート
- 上流の石油化学工業
- 基礎油脂化学工業
- 苛性ソーダ・塩素工業
- パルプ・紙製造業
- エタノール製造業
- 乾式蓄電池製造業
- 塗料製造業
- 医薬品製造業
- 殺虫剤製造業
- 肥料製造業
- 繊維製造業
- ホテル業
- 健康サービス施設業
- 屠畜業、および
- 国内の、
- 住宅地、事務所街、商業地、および集合住宅;
- 建物の面積が1000 m2 を超える飲食店;および
- 居住者が100人以上の寮
上記産業分野のうち「x. 電子産業」の排水基準は、付属書24で以下の通り定められている。
項目 | 単位 | 値 |
---|---|---|
物理パラメータ | ||
TSS | mg/l | 60 |
BOD5 | mg/l | 50 |
COD | mg/l | 110 |
pH | – | 6~9 |
化学パラメータ | ||
アンモニア態窒素 | mg/l | 10 |
フッ素 | mg/l | 10 |
フェノール | mg/l | 0.5 |
油脂 | mg/l | 10 |
銅 | mg/l | 0.6 |
亜鉛 | mg/l | 5 |
六価クロム | mg/l | 0.1 |
カドミウム | mg/l | 0.1 |
水銀 | mg/l | 0.002 |
鉛 | mg/l | 0.1 |
ニッケル | mg/l | 0.5 |
また、第3条で定められたすべての産業分野において、以下の実施が義務付けられる(第16条)。
- 排水許可において定められたところのパラメータに従い、少なくとも毎月1回は排水水質の監視を行なう。
- a項において述べたところの監視の結果は3ヶ月に1度、排水許可の発行者へ報告し、その写しを大臣および管轄権に従うところの知事へも報告する。
- b項において述べたところの監視の結果報告は、少なくとも以下の項目を含んでいること。
- 日ごとの排水記録;
- 素材および/または日ごとの生産実績;
- 排水水質基準のパラメータ値;および
- 排水負荷の計算
- c項において述べたところの報告は、本規則の付属書48に記載された報告書式に従い作成すること。
第3条で規定されていない産業分野に対する排水基準
上記の第3条で規定されていない産業分野の場合は、付属書47の排水基準値に従うこととなる。この付属書47では各パラメータに対して基準値が2通り(クラス1とクラス2)用意されているが、排水先の水系が第1級河川である場合はクラス1の基準値が適用される(つまり、より厳しい基準値が適用される)。ただし、処理前の廃水のBODが1500 ppm未満かつCODが3000 ppm未満の場合は、第1級河川でなくともクラス1の基準値が適用される。