中国天津市人民代表大会常務委員会弁公庁は、2015年10月12日、「天津市水質汚染防止条例(草案)」(以下、「草案」)を公表した。本「草案」は既に天津市人民代表大会常務委員会で2度の審議を経ており、近く、意見募集が行われる。その後、集めた意見をもとに修正を行い、3度目の審議を経て2016年の初めに開催予定の第16期天津市人民代表大会第4回会議で審議される。
本「草案」は、天津における水質汚染防止の6つの基本原則を「節水優先、保護優先、予防重視、総合対策、大衆参加、損害責任担保」と規定している。特に、政府、汚染排出事業所、住民のそれぞれが引き受けるべき水質汚染防止についての責任を明確にしており、汚染排出事業所については、水質汚染物排出濃度を国および天津市が定めた排出標準に適合させ、重点汚染物の排出については、総量規制の基準を満たさなければならない。船舶から排出される油を含んだ汚水やその他の一般廃水の排出については、船舶汚染物排出標準に適合させなければならない。
また「草案」では、「工業用水汚染防止」の章が設けられており、関係官庁が国の産業構造調整に関する規定を遵守し、水質に重大な汚染をもたらす工場の新設、増設を禁止するよう定めている。さらに、関係官庁は水質に重大な汚染をもたらす製品、製造工程、設備などを淘汰させる国の規定を厳格に守らなければならず、紙・パルプ、皮革、染料、農薬合成の4業種の新設・増設は禁止される。既存の小規模工場については、県レベルの人民政府が関連規定に照らして閉鎖させる方針である。
罰則について
「草案」では、危害の程度によって水質汚染に関わる各種違法行為を細かく分類し、それぞれ罰則を規定している。第28条では8項目の禁止行為を規定しているが、うち、油類または有毒物質を運搬/使用したことのある車両や容器を池や河川で洗った場合については、1万元(約19万円)以上10万元(約190万円)以下の罰金が科される。油類、酸液、アルカリ液を直接または間接的に池や川に排出した場合や工業廃棄物、ごみ、その他の廃棄物を池や川に不法廃棄した場合、固体廃棄物およびその他の汚染物を河川、湖沼、水路、ダムなどの最高水位ライン以下の岸に廃棄した場合、工業汚水、有毒汚染物を含んだ汚水、病原体を含んだ汚水及びその他の廃棄物を、漏出防止措置の無い水路、池などに輸送または貯蔵した場合などは、2万元(約38万円)以上20万元(約380万円)以下の罰金が科される。
さらに、劇毒廃液または放射性物質を含む汚水を池や川に排出した場合や雨水用パイプ・隠しパイプを使って汚染物を違法に排出した場合、水質汚染物を地中にしみこませるなどの方法で排出した場合は、5万元(約97万円)50万元(約970万円)以下の罰金が科される。
上述の天津市水質汚染防止条例(草案)は、以下のURLより閲覧できる。
http://www.tj.gov.cn/zwgk/gsgg/szfgg/201510/t20151012_278555.htm