中国福建省、土壌汚染防止弁法を施行――違法行為に対し最高20万元の罰金が可能に

中国福建省政府は、2015年12月3日付けで、「福建省土壌汚染防止弁法」(省令第172号)(以下、弁法)を制定した。本「弁法」は中国国内初の土壌汚染防止関連地方法規となり、2016年2月1日より施行される。本弁法の実施により、福建省は今後飲用水水源地、食用農産品山地といった土壌敏感区域に対し、5年ごとに調査を実施しなければならない。また土壌汚染による損害を受けた事業者又は個人は、汚染者に侵害の停止および損害賠償を要求する権利を持つことになる。

同弁法によれば、土壌環境管理のために省政府は土壌調査を実施し、その結果をもとに農用地が「環境安全区」、「環境警戒区」、「環境汚染区」の3級に区分される。農用地環境安全区においては、有効措置を講じて各種汚染源による汚染を防止しなければならない。また農用地環境警戒区においては、環境汚染総合対策を講じて、汚染を削減又は浄化しなければならない。農用地環境汚染区においては、農業構造調整を推進し、厳格な用途制限を実施、食用農産品および飼料用作物の栽培を禁止する。重度の汚染により農産品の生産に利用できない土壌については、土壌修復の関連規定に従って修復を実施しなければならない。

福建省政府は、今後、土壌環境状況の調査結果に基づき、「土壌汚染重点監視対象企業名簿制度」を構築する。土壌汚染物質が規制値に達した又は超過した場合、当該地域を汚染場所リストに掲載する。住民の健康と環境に被害をもたらす可能性があり、浄化をしなければならないと判断される汚染場所について、汚染を引き起こした事業者又は個人は、責任を負わなければならない。浄化場所リストに列記されない汚染場所についても、汚染を起こした事業者又は個人は汚染拡大の抑制に取り組まなければならない。

また、汚染場所の所有権、使用権を持つ者及び実際の使用者は、汚染拡大の抑制に責任を負う。汚染場所の所有権、使用権を持つ者と実際の使用者が異なる場合、実際の使用者は汚染拡大抑制の主たる責任を負い、所有権、使用権を持つ者は連帯責任を負う。汚染を起こした事業者又は個人は汚染場所を浄化する責任を負い、関連費用を負担する。

さらに、同「弁法」によれば、環境影響評価の実施に際して土壌関連影響の評価や汚染防止措置などの内容を含まないことや、建設プロジェクトの土壌汚染防止施設を主体プロジェクトの設計・施行・使用と同時に利用しないこと(いわゆる三同時制度の違反)など、8種類の違法行為について、各級政府の関係部門は、事業者又は個人に是正、生産制限、操業停止などを命じる権限を持ち、悪質な場合、10万元以上20万元以下(約200万円以上400万円以下)の罰金を課すことができる。

「福建省土壌汚染防止弁法」の原文は下記のURLにて閲覧可能である(中国語:簡体字)。
http://www.fujian.gov.cn/inc/doc.htm?docid=1116149

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